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2019/06
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ダークヒーロー★しらゆき~リベンジ~(7) 魔王さま★リベンジ
「わらわがそのスライム達をやっつけてきてあげるわ!!」
 落ち込んでいた魔王さまは、どうやらもう立ち直ったようです。
 本人には決して言いませんが、私は魔王さまのこの立ち直りの早さがすごいと、常々思います。
「魔王しらゆき、リベンジよ!!」
 大声をあげ勢いよく起き上がった魔王さまに、エルフは目を丸くして驚いていました。
 しかしハっとして我に返ると、彼女は慌てて魔王さまの肩に手を置き、先程までのゆっくりとした口調ではなく、矢継ぎ早に制します。
「急に起き上がらないでください。まだまだ安静にしていないとダメなんですから。」
 咎める彼女に、けれど魔王さまは意に返しません。
「ふん、このくらいどうってことないわ。」
 魔王さまはそう言うと、体にかけられていた毛布を退け、着せられていたガウンの腕をまくり裾をたくし上げました。
 すると、先程まで体の至る所にあった傷が綺麗さっぱり消えていて、まるで雪のように白く滑らかな肌が露わになりました。
 それを見たエルフはさらに驚きました。
 世界屈指の雑魚モンスターのスライムとは言え、集団で襲撃された魔王さまはなかなかの重傷を負っていたのですから。
 この短時間で、たとえ数日かけてもこんなに綺麗さっぱりなくなるような傷ではなかったのです。
「きっと貴女の薬が良かったのね。」
 空になったコップをちらりと流し目で指し、魔王さまは言います。
「そんなはずは...。」
 そう、そんなはずはありません。
 世の中には色々な薬があり、中にはすぐにも死んでしまう程の重傷を負っていても、一口飲めば傷はふさがり体力は満ち満ちてくるような魔法の薬もありますが、彼女が魔王さまに出したものはそれほどの代物ではないことは彼女が一番分かっていたのですから。そういった薬はとても希少で滅多なことでは手に入りません。
「ほら、わらわの着ていた服を出して。」
 魔王さまはベッドから降りながら言います。
「偉大なわらわに良く似合う、あの冥帝の黒衣を。」
 痛々しいネーミングセンスをさらりと披露する魔王さまですが、言動とは裏腹にその動作は優雅そのもの。
「それに、武器も欲しいわね。わらわに素手は似合わないわ...」
 言いながら部屋の中を見回し、武器になりそうなものを探します。部屋の中に武器になりそうなものが見つからないと、その目は今度は窓の方に。やがてベランダの大きな扉窓で目を止めた魔王さまは、
「そうね、今回はあれで良いわ。」
 ベランダで物干し竿として使われている木の枝を指して言いました。
 突然の出来事に驚いていたエルフは再び我に返ると、またも魔王さまを咎めます。
「ダメですって!酷い目に合ったのを忘れましたか!?」
 そんなエルフの様子は気にせず、魔王さまは問います。
「貴女、名前は?」
 まさかのタイミングでの問いに、戸惑いながらもエルフは答えました。
「えっ...、アルウェンといいますけれど...。」
「そう。」
 一泊置いて、
「アルウェン。わらわはしらゆき。魔王しらゆきよ。」
 威厳たっぷりに言い放ちます。
「わらわは、受けた恩をそのままにはしておかないわ!」
 魔王さまは昔から、自分のポリシーというものを持っています。
 その中には理解しがたいものも多く、はっきり言って無駄なこだわりと言えるようなものも多くありましたが、そんな魔王さまのポリシーの中にあって、とても分かりやすく、また世間一般でも道徳として認められているのがこれでした。
「魔王たるもの、受けた恩は返さなくてはならないの。」
 だそうです。
 まぁ、借りを作るのが嫌ということです。魔王さまは普段からそう言っていますから。
「いい?これはわらわの我儘でわらわのポリシーのためなの。」
 なおも魔王さまを制止しようとするアルウェンを、今度は魔王さまが制し、武器になるものを探した時に見つけたのでしょう。部屋の隅で畳まれていた黒い服を、魔王さま曰く冥帝の黒衣に着替え、
「借りていくわね。」
 ベランダにあった物干し竿を手に取り、魔王さまは悠々とこの家を後にしました。
 エルフのアルウェンは、ぽかんとしてそれを見送っていました。
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ダークヒーロー★しらゆき~リベンジ~(6) vsスライム
「・・・」
 思い出して、もっと渋い顔。
 魔王さまは、モンスターにやられて、気を失って倒れていたのです。
 森の中で、下から数えて世界で5本の指に入るくらいに弱いスライム達に、負けてしまったのです。

 あの時、魔王さまを取り囲んだスライム達は、一斉に魔王さまに飛び掛かりました。
 武器を持っていなかった魔王さまはとりあえず最初に飛び掛かった1匹を避け、そのままの勢いで跳んでいくスライムを殴りつけました。
 必殺魔王パンチ!
 当然スライムは勢いよく飛んでいきましたが、地面に着地するとすぐに起き上がり、他のスライムと一緒に魔王さまに再び飛び掛かったのです。
「意外とやるわね!」
 多分、魔王さまはスライムを強いモンスターなのだと思ったのでしょう。
「けれど、このわらわには遠く及ばないわ!!」
 最初は威勢の良かった魔王さまも、スライムの群れに囲まれ、飛び交う体当たりに曝され、徐々に勢いと体力を失っていき...

「わらわは、負けてしまったのね...。」
 ギリっと、歯ぎしり。
 魔王という世界最強のはずの自分が、野良のモンスターに負けてしまったことが余程悔しい様子です。
 いえ、魔王さまは例えどんなに強い相手であっても、自らの敗北なんて許さないでしょう。
「スライムですね。」
 そんな魔王さまをしばらく見つめていたエルフはやがて口を開き、言いました。
「彼らはこの村付近に棲むモンスターで、最近急激に数を増やしてきているのです。集団で村人や旅人を襲う困った連中ですよ。」
 どうやら彼女は、スライムが世界有数の雑魚モンスターであることは伏せておいてくれるようです。良かった良かった。
 とは言え、彼女の言うようにスライムは集団で人を攻撃しますから、普通の村人や非力な旅人からしたら脅威なのもまた事実でしょう。
「私も、スライムが増えて森に薬草を取りに行けなくなって困っていたのです。」
 どうやら棚の瓶に入っていた植物は薬草のようです。見ると、確かに空の瓶も多く、薬草の補充が必要なようです。
 それを聞いた魔王さまは、少し考え深げな表情になり、
「昔は冒険者の方に退治をお願いしていたのですが、最近は大陸の方に行く方が多くて、中々退治をお願いできる方もいないんですよねぇ...。」
 さらに聞いた魔王さまは、ニヤリと凶悪な笑み。
「ふふふ...!ならば、このわらわに任せなさい!」
「え?」
「わらわがそのスライム達をやっつけてきてあげるわ!!」
 
ダークヒーロー★しらゆき~リベンジ~(5) 森のエルフ
 パチっ。
 と、魔王さまの目が開きました。
「良く寝たわね...。」
 寝起きの魔王さまはひとことそう呟くと横たえていた体を起こし、軽く伸びをします。頭の上で両手を伸ばし、続いて右手と左肘を組んで伸び、左右を入れ替えて伸び。漫画でよく見る、目の覚めた主人公がする伸びです。
「って、ここは?」
 優雅に伸びをしてから、ようやく疑問の声を上げる魔王さま。
 白い土壁に、柔らかい木板の床。
 棚は太めの木の枝を組んで作られたカントリーなもので、そこには深い緑や青をした革表紙の本や、透き通った液体や植物の入った瓶や水差しが並んでいます。
 窓からはきらきらと陽の光が差し込み、部屋の雰囲気と相まって何とも温かみのある空間の、これまた暖かそうなベッドで、魔王さまは休んでいました。
「わらわは...?」
 魔王さまは自分がなぜここに居るのか思い出そうとしています。記憶が少し混濁しているようです。
「あっ、目が覚めましたか?」
 混乱する魔王さまにかかる声。
 ハっとして部屋の入口の方を見ると、そこには人影が。
「良かった。心配したんですよ?」
「貴女は...」
 ここで、ついに私参上!
 ではなくて、そこにいたのは背の低い、くしゃくしゃっとパーマがかった上品な金髪に、おっとりとした表情をした、女性でした。けれどその人はただの女性ではなく、長い耳は先端で少し尖り、床からほんの数センチ浮かび上がった体の、背中の方を見れば桃色がかった白の透き通った羽を持った、美しい女性でした。
 エルフ。
 彼女はエルフでした。
「あ、まだ起き上がらないでくださいね。」
 彼女の羽は羽ばたきを止め、すとんと床に降り立ちます。
 洗練された動作で彼女は魔王さまのベッドに歩み寄ると、サイドテーブルに乗せてあった木の桶から新しい布巾を出し、軽く絞ると魔王さまの顔を拭きました。そして手で肩を押しそっと寝かしつけ、魔王さまの黒く艶やかな前髪を上げ、布巾を綺麗にたたんで額に乗せました。
 その間、魔王さまはただ大人しくされるがままにしていました。
 森に降り立った時のあの騒ぎようが嘘のようです。
「あなたは、」
 エルフは魔王さまの世話をしながら話し始めます。
「村の入り口に倒れていたんですよ。意識が全くなかったけれど、何があったか覚えていますか?」
 食器棚から取り出したコップに、あのカントリーな棚にあった水差しから液体を注ぎます。
 魔王さまは体を起こしてそれを受け取り、一口飲むととても渋い顔をしました。
「ふふ、良薬口に苦しですね。」
 渋い顔をしながら薬を飲み干した魔王さまは再び横になり、何があったのかを思い出します。
「・・・」
 思い出して、もっと渋い顔。
 
ダークヒーロー★しらゆき~リベンジ~(4) 魔王さま、はじめてのバトル
「あら?」
 声高らかに世界征服宣言をした魔王さま。その熱気と興奮が冷めてくると、周りの景色も見えてきたようで、
「なにかしら?貴方達...。」
 ついさっきまで誰も居なかったここには、いつの間にかモンスターが集まり、魔王さまを取り囲んでいました。
 雫のような形で、透き通った緑色の体。
 キラキラ輝くクリッとした目の、何とも可愛らしいモンスター達は「スライム」と言って、この世界で5本の指に入るほどの、弱いモンスターです。
 魔王さまの大声を聞いて、集まってきたのでしょう。
「偉大なる魔王に何か用?我が魔王軍に加わりたいのかしら?」
 スライム達を見回しながら、静かに、それでいて威厳たっぷりに語り掛ける魔王さま。
 しかし、
「ピィーっ!」
スライム達は一斉に叫び声をあげ、目を尖らせて睨みつけ、魔王さまを威嚇します。
「あらあら...」
 呆れたように言う魔王さま。
「あらあらあら...。
そうよね、貴方達のような低級なモンスターには分からないわよね?」
 首をゆっくり振りながら、やれやれと冷笑する魔王さまは言い放ちます。
「仕方ないわ、見せてあげる。」
 カッと目を見開いて、凶悪な笑みを浮かべて、
「格の違いというものをね!」
 
プロフィール

しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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