2017/07
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ファミリアマスターが征く!(229)      彷徨う影の巣窟
「うぅ・・・。フワフワ浮いててなんだか気持ち悪いなぁ・・・。」
私は仲間のファミリアたちと一緒に、再び地下鉄に来ていました。
地下鉄の中は相変わらずじめじめしていて、どことなくカビ臭くて、
「うひゃあ!?」
しかもピチョンピチョンと天上から水滴が垂少しずつだけれど絶え間なく垂れてきていて、不気味な雰囲気です。
今みたいに、その水滴が急に首筋に落ちてきたりするとビックリしちゃいます。
「良く響くわね。」
私の悲鳴が地下鉄の空洞に反響して、少しずつ遠ざかりながら何回も繰り返し響きます。
「ここで歌でも歌ったら気持ちいいかもね。」
なんて、響く悲鳴を聞きながらアリスが呑気なことを言います。
「もう!」
私は照れ隠しにちょっと声を怒らせて、
「こんなところで歌う気になんてなれないよ!」
もっともな意見を言いました。
「まぁ、それもそうね。」

私たちは地下鉄に住む、レイスと言うモンスターと戦っています。
レイス達は薄暗くってじめじめした地下鉄で、次から次へと湧き出て来るけれど、そんなに強くないのであんな呑気なお喋りが出来るという訳です。
でも、このレイス。
確かに強くはないんだけど、
「うぅ、それにしても不気味だなぁ・・・。」
とっても不気味なのです。
レイス達は物陰から、足場の陰や壁際の隅っこなんかの薄暗い影から、湧き出すように出てきては、フワフワ浮かんでフラフラ漂い、当て所なく彷徨っています。
白いテーブルクロスを被って全身を隠していて、顔の所だけが見えるのですが、その顔の部分も暗い影になっていて、その影の中にぼうっとした白い二つの光。きっとレイスの目が光っているのでしょう。
そして何より気味が悪いのは、レイスは力尽きるとその場に倒れるでもなく、
「ギャーッ・・・!」
と言う、黒板をひっかく音みたいな悲鳴を残して、消え去ってしまうのです。
後に残るのはレイスが被っていたテーブルクロスと、ただでさえ冷えた地下鉄の中の空気よりもさらにヒンヤリ冷たい空気だけ。
レイスが居た場所だけ、周りより温度が低いのです。
そんなレイスはさながら・・・
「まるでオバケ屋敷だね。」
と、急に飛び出してきたのはゾンビキノコのテッド。
「ここは僕らに任せてよ。皆は下がってて。」
そしてゾンビママシュのキングテッドです。
どうやら今まで戦ってくれていた他のファミリア達と、バトンタッチをしてくれるようですが、一体どうしたのでしょう?
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お...おひさしぶりです...!!
えっと...
お久しぶりですっ!(*>w<)

って、ホント久しぶりの更新で、たぶん初めましての人の方が多いのかな・・・?

しらゆきさんです、こんばんは!(*゚ー^)ノ
(この挨拶も懐かしいなー)


メイプルはもうやってないし、多分もうやらないかもなーって思ってるけど、でも私メイプル好きだったなって、最近思います。

あのほんわかした雰囲気とか、チャットの使いやすさとか、好き。

2Dでシンプルで、敵も可愛いし、自分のキャラも好きなようにいじれるし、絵柄が好き。

ちまちまクエストしたり狩りしたりするのが、好き。

でも、一番好きなのは、自由さ。
時々NPCが何言ってるか分かんないけど、日本語ぶっちぎりで狂ってる時あるけど、クエスト進めながら、
「このキャラはこういう人なのかなー?」
「この街はこういう場所で、あの人はこの街でこういうポジションに居るんだなー。」
「このモンスターには、こういうエピソードがあるのかぁ。」(昔はモンスターブックでモンスターのエピソードが見れました。今でも調べると、載ってるサイトがあります。)

なんて考えながら、クエストこなして冒険して、しらゆきの冒険日誌を作っていくのが、私はすっごい好きでした。

段々、しらゆきが勝手に動き出して、考え出して、あの子の性格が出来上がっていくのね。

「あの子ならこう思うだろうなー。」
「こうするだろうなー。」

なんて、ゲームしながらよく考えてました。
で、それが「ファミリアマスターが征く!」になっていくのです。

すっごい楽しかったし、感想とかもらった時はホント嬉しくて、今でも忘れてません。

初めて拍手でもらったコメントを、私は何かものを書き続ける限り、一生忘れないでしょう。

お互い知ってはいたけどあまり話したことの無い人に、「しらゆきさんのブログ好きだけどなー」って言ってもらって、ほとんどそれがきっかけで仲良くなったこともありました。

当時大好きだったブログの人に、褒めてもらった時は舞い上がるような気持ちで、自信が付きました。


私はもうメイプルしないかもだけど、それでもファミマスは何とか書きたいって、音沙汰なかったけどずっと思ってました。
あの子の冒険を、最後まできちっと果たさせてあげたい。

魔王さまとベアトの色々も、書いてみたい。
二人のことは結構ずっと考えてて、ダークヒーロー書き直したいなとか、二人がメイプルに来る前、子供だった頃のこととかも頭の中にあって、やっぱり、書きたい。

私にとってこのブログは、大変だった時もあったけど、癒しでした。


急にこんなこと書いて、どうした!?って感じだけど、最近、ネットでライティングのお仕事を始めて、今日初仕事が終わったので、感慨深くなって書いてみました。

って言っても、クラウドソーシングの、仲介業者を挟んでのやり取りで、素人でもできるものだから、大したことではないんだけれど...

それでも、依頼された記事を書いてる時に、結構バーッて、勢いに乗って特に不自由せずにかけたんです。

私なりに頑張って、とても楽しかったブログの経験が、こういう風に活きた。
それが、何か嬉しかった。

そんなことがあったので、久しぶりに顔出してみました。

また私がお話を書いたら、お暇な時に、ぜひ遊びに来てくださいね♪
 
letter from Familia Master(三通目) 「初めまして、アリス。」
 彼女が登場するまで、思いの外時間がかかっちゃったなぁ。きっと愚痴を言い過ぎたのがいけなかったんだろうけれど、まぁ相当鬱憤溜まってたし、彼女も無事登場できたし、良いよね。

「ねぇ、絵を描いているの? 私にも見せてよ。」
 もう何年も前の事なのに、初めて彼女に声を掛けられた時のことは今でもはっきりと思い出せます。私は彼女の声が好きで、だから初めてそれを聞いた時のことも鮮明に覚えているんだと思います。それにやっぱり、彼女との出会いは衝撃だったからなぁ。
 嫌なことを心から追い出して、半ば無心、半ば夢見心地だった私は、一瞬その声が夢の中で聞こえた声で、それが現実のものだということに思い至りませんでした。だって彼女の声は穏やかな夢の中で聞くのに相応しいような、優しくて落ち着いた、理知的な響きを持っていたんだもの。私はそんな夢の中から聞こえたような彼女の声にうっとりして、そのまま本格的に眠ってしまいそうになったけれど、そのすぐ後にその声が夢の外、現実の方から聞こえてきたことに気付きました。
「誰・・・?」
 それで半分夢の中に居た私は慌てて駆け出して、夢の世界から現実の世界へと向けて全速力で走り抜けました。
 あの時の私の声は、さぞかし寝惚けて気の抜けた声だったんだろうなぁ。
 そんな寝惚け眼を擦って、少し垂れていたよだれを手の甲で拭きながら、私はキョロキョロと辺りを見回して、声の主を探しました。
「あれ?」
 だけど声の主は見つかりません。私は不思議に思いました。あれはやっぱり、夢の中の声だったのかな。
「どこ見てるの? こっちよ、こっち。」
 けれどやっぱり声はやっぱり現実のものだったようで、あたりをキョロキョロ見回す私に自分の居場所を知らせようと、彼女は私に再び声を掛けてくれました。なのに、声のした方を振り返ってみても誰も居ませんでした。どこもかしこも、緑キノコが居るばかり。
「どこ?」
「もうっ! ここだよ!」
 いつまで経っても声の出所を見付けられなかった私に、彼女も痺れを切らしたようでした。今思うと、あんな風に声を大きくする彼女は、珍しかったなぁ。
「えっ、緑キノコ?」
 今度こそ声のした場所をはっきりと感じ取り、彼女を見つけ出した私は驚きました。
 だってそこには、ピョンピョン飛び跳ねながら、自分はここだと主張する緑キノコが居たのですから。
「やっと気付いたわね・・・。」
 やれやれと、緑キノコ。
「緑キノコが、喋った・・・!」
「何よ、緑キノコが喋っちゃいけない?」
 ちょっとばかり不機嫌に言う緑キノコはどこか勝気な様子。
 これが私と彼女の出会いでした。この日彼女と出会って、何日か後に再開したところから、私の冒険は始まるのです。だけど今はもう少し、この日の話が続きます。
「私は緑キノコのアリス。貴女は?」
「私はしらゆき。えっと、人間で弓使い見習いをしているよ。」
 お互いに自己紹介をする私たち。
 自分の名前の前に丁寧に「緑キノコの」と付けるアリスに、私も自分が人間であることを説明してしまいました。可笑しいよねぇ、お互い見れば分かることなのにね。
「ふぅん、しらゆきね。良い名前ね。」
「ありがとう。アリスも可愛らしい名前だね。」
 私はお気に入りの名前を褒めてもらえたことが嬉しくて、お返しにアリスの名前も褒めてあげました。だって実際、良い名前だったからね。なんだかお伽噺にでも出てきそうな名前でしょ? そんな風にお互いの名前が気に入った私たちは、すぐに打ち解けることが出来ました。
 そして打ち解けた私たちはお互いのことに興味を持って、色んなことを質問し合い、自分のことを教え合いました。
 アリスは時々ここにやってきては絵を描いたり本を読んだり、それからお昼寝しては帰っていく私に、前から少し興味を持ってくれていたようです。私はヘネシスの街の外の場所ではこの場所が特に好きでした。ここは街から程よく離れていて静かで、それでいて通いやすい距離だし、見晴らしも良いし大人しい緑キノコたちがたくさん居るのが好きでした。アリスは自分もこの場所が好きだと言い、それから緑キノコが好きと言った私に対して、
「あら、緑キノコに生まれて得したわね。」
 なんて、冗談めかして言いました。
 それから、アリスの趣味は読書だそうで、勉強のためによく本を読んでいた私と話が合いました。だけど緑キノコが本を読むということに私は驚いて、一体どこでどんな風に読むんだろうと気になりました。でも、さっき「緑キノコが喋っちゃいけない?」って言われたばかりだったから、そのことは黙っておきました。
「そう言えば、しらゆきは弓使い見習いなんだよね。」
「うん、そうだよ。立派な弓使いになって、正義の冒険家になりたいんだ!」
「へぇ、正義の冒険家ね・・・。夢があるね。」
 いろんなことを話した私たちは、私の夢である冒険家についても話をしました。けれど、私は自分の夢のことを楽しげに話しながらも、肝心の修練がうまくいっていないことについては話しませんでした。だってここにはそれを忘れるためにやってきたんだし、アリスとお喋りしていて楽しかったんだもの。アリスには悪かったけれど、たまには嫌なこと忘れて逃げたって良いよね?
 私たちはそうしてあれもこれもたくさんのことを話して、青かった空が赤く染まった頃に、ようやくお別れして帰りました。その日の晩御飯はとても美味しかったのを覚えています。けれど、明日からのことを考えて寝付きが悪かったのも覚えています。アリスとのお喋りはとても楽しくて、確かに私の気持ちのモヤモヤを綺麗にはらしてくれたけれど、あの頃の私はやっぱり卑屈になっているところがあって、心も少し荒れ模様だったので、夜もすっかり更けるころには、モヤモヤは再び立ち込めて、私の気持ちをどんよりとさせました。
 さて、それからしばらく経ったある日。外はどんより曇り空で、今にも雨が降り出しそうな日でした。そんな天気で、しかも弓使い学院もその日はお休みだったので、私も他の弓使い見習い達も、それぞれ家や学校の量に篭って、自分の趣味や勉強に没頭していました。私は家でしばらく勉強してから、疲れたので途中まで読んだ小説の続きを読んでいました。その小説は私のお気に入りの、心の晴れるような物語だったのですが、この時ばかりはそれを読んでも私の心は曇り空のままでした。今にも泣き出しそうな空のせいで、外に出て修練出来ないことに私は苛立っていたのです。家の中で勉強をして、せめて弓使いに必要な知識を身に付けようとしたけれど、私にとって最も必要だったのは知識のための勉強ではなく強力な矢を射る力のための修練でした。幼い頃からいくら修練しても射る矢の威力が一向に上がらなかった私は、いよいよ焦っていたのです。焦って焦って、それを修練にぶつけて、それすらできないことに私は更なる焦りを感じました。
 そこで私は、もう居ても立っても居られなくなって、見習い用の一番弱い、けれど長年愛用して良く手に馴染んだ弓を持ち出して、曇り空の中へと飛び出していきました。

 今にも雨の降りだしそうな天気の中、家を飛び出した私はモンスターの住処となっている丘へとやってきました。
 目の前には空に立ち込める雲と同じ灰色の傘を持つキノコのモンスター達。彼らの名前はツノキノコ。その名の通り、灰色の傘には無数の鋭いツノが生えて、トゲトゲになっています。
 緑キノコの丘よりも街から離れたこの場所は、見習い弓使いのための修練場としてよく使われていました。緑キノコよりも強く気性の荒いツノキノコは、実戦訓練の相手に最適なのでした。
 とは言え、他の見習い達には手頃な相手でも、私にとってはだいぶ強敵です。
 心が追いつめられて家に居られなくなった私は、彼らと戦うためにここまで一目散にかけてきたのですが、いざツノキノコを前にすると躊躇いも生まれました。敵わない相手ではありませんが、何せ数が多いのです。一方私は今日は一人。いつもは他の弓使い見習い達と一緒にやってきて、私は持ち前の素早さと狙いの正確さで敵を翻弄しつつ、仲間の弓使い達に攻撃を任せているのですが、今日の私は一人です。確かに何本もの矢を使って数を当てれば二匹、三匹倒せないことも無いですが、多勢に無勢。並み居るツノキノコたちを全て相手にすることは私には出来ないでしょう。
 攻撃に威力がなく、相手を倒すのに時間がかかる私には戦法があって、それは何匹かを上手くおびき寄せて、出来るだけ一対一に近い状況を作って戦うという戦法で、しばらく私はそうやって戦っていました。何匹か、ツノキノコをやっつけることも出来ました。
 けれどいくらなんでも多勢に無勢。
 やがて体力も消耗し、戦法も立ちいかなくなってきて、徐々に私は追い詰められていきました。
 私の四方には、たくさんのツノキノコ。
 囲まれてしまい、それでも何とか戦おうと矢を射りますが、過たず命中する矢は相手に碌なダメージを与えることも出来ません。
 いよいよ追い詰められ、ツノキノコたちの包囲網を抜けることも出来なくなった私は、あぁ、いくらなんでもツノキノコ相手は無茶だったな。とか、所詮私はこんなもんか、一番弱いメイプルキノコくらいが、私に相手が出来る関の山なんだ。とかを、妙に静かな心で考えていました。
 攻撃態勢に入り、今にも襲い掛かってきそうなツノキノコ。
 絶体絶命のピンチなのに、私は何故か冷静で、まるで悟りでも開いたかのような境地に居ました。
 だけどやっぱり、痛いのは怖いわけで、一番大きな身体をしたツノキノコが先陣切って私に飛び掛かってくる瞬間、私はギュッと目を瞑って身体を固くして、痛みに備えました。
 だけど、いつまで経っても私は痛みを感じませんでした。何の攻撃も、受けませんでした。
 おかしいと思い、そろそろと目を開けると、そこには先ほど飛び掛かってきたツノキノコが倒れていました。
 
letter from Familia Master(二通目) 「最初の出会い。」
 私が最初の仲間と出会って、私の冒険が始まる話をする前に、それまでの話を少ししないといけないよね。
 先のお手紙で、私の住んでいる街はヘネシスという街で、そこは長閑な草原の街だと話しました。だけど、ヘネシスと言われてみんながまず思い浮かべるのは、そこじゃないと思います。
 ヘネシスと言われてみんなが一番に思い浮かべるのは、そこが弓使いの街だということでしょう。
 ヘネシスには大きな弓使い学院があって、街の外からも中からも、たくさんの弓使い志望者がそこに集まって、互いに切磋琢磨しながら技を磨いています。
 子供の頃からこの街に住んでいる私は、そんなたくさんの弓使い達の姿を見て、それからその学院の校長先生であるとても強い弓使いに憧れて、弓使い学院に入りました。そして当然と言えば当然だけれど、この街には私みたいな子供が多くて、弓使い学院の三分の一は私の幼馴染や近所のお兄さん、お姉さん、そして反対に私のことをお姉さんと慕ってくれる子供たちです。弓使い学院の三分の一がそんなヘネシス出身者って言うのは、割とすごい事じゃない? だって弓使い志望者は世界中の色んな街から集まってくるのに、この小さなヘネシスの街の人々がその三分の一を占めているんだもん。だけど私はそんな風に思いながらも、それも当たり前のことだなんて思ってもいるのです。だって、幼い頃からカッコイイ弓使い達の姿を間近で見ていたら、そりゃ憧れて自分もやってみたい! って思うよね。中でも学院の校長先生は本当に強くてカッコ良くて、街中の人から尊敬されているし、世界でも有名な人なんだから!
 って、少し興奮しちゃったけど、これでヘネシスがどんな街かもっとよく分かってもらえたと思うし、私が冒険に出ることになった経緯も分かってもらえたと思います。私は私の冒険が始まるずっと前から弓使いに憧れていたし、つまり同時に冒険にも憧れていたのです。
 だって、弓使いは冒険するものだもの!
 弓使いという「職業」は、他にもいくつかある「戦う職業」と合わせて「冒険家」と呼ばれていました。
 冒険家とは、日々の修練で手に入れた力を使って、人助けをしたり、宝探しをしたり、更なる力を求めてより厳しい修練に励んだりしながら、世界中を冒険する人のことです。もちろん一つの所に納まって兵士をやったり、各地で傭兵をやったりする人もいるけれど、やっぱりダントツで冒険家の道を選ぶ弓使いが多いのです。冒険家は、成長した弓使いの進路の一番人気で、花形とも言えるかもしれません。
 冒険家になる理由は人それぞれだけど、じゃあ私が冒険に憧れを抱く理由は何? って聞かれれば、それは正義の味方に憧れているからです。もちろん広い世界に出て色々なものを見たいとか、強くなりたいって気持ちもあるけれど、一番の憧れはさっきも話に出た、人助けをしながら冒険をする、ということです。
 人助けの冒険家。正義の味方。
 モンスターの襲撃を受けている街に颯爽と現れて、目にも止まらぬ弓捌きで敵を倒し、街を救うヒーロー。
 悪者たちに支配された村の中でひっそりと、弓使い持ち前の素早さを狙撃術を活かして、人知れず人々を解放するスナイパー。
 私は小さい頃からそんな想像をめぐらして、ずっと正義の味方に憧れ続けていました。憧れて、そんな正義の味方を目指して、修練にも勉強にも、人一倍励んできました。
 励んで、きたんだけど・・・。
 まぁ、これは長い長いお手紙で、時間も書くスペースもたくさんあることだし、今は過ぎたことだけれどちょっと私の愚痴に付き合ってよ!
 私は確かに誰よりも生傷こさえて修練に励んだし、街で一番早く起きる長老のおじいちゃんよりも早起きして勉強に精を出したけれど、私の弓使いとしての実力は一向に伸びなかったんだ。
 ううん、実際は確かに力がついていったよ?
 走ったら走っただけ体力が付いた。トレーニングを重ねるほど、私は力持ちになったし打たれ強くもなった。それに弓使いは地形を活かして戦う職業だから、どんな所にもすぐ移動できるように、それからどんな場所からも矢を入れるように、色んな場所をアスレチックみたいに走り回って身のこなしを軽くしたし、泳ぎだってたくさん練習した。入り組んだ岩場を駆け回って、木と木の間を飛び回る私はまるで忍者みたいだと言われたし、泳ぎも街で一番上手になった。それに水の中から矢が居れるのなんて、弓使い学院の中じゃ私とあと何人が出来るんだろう?
 それにそうした修練だけじゃなくて、色んな勉強も無駄にならなかった。全部ではないけれど色んなモンスターの習性を私は覚えたし、相手の動きや武器を見て、相手の戦法を素早く見極める方法も学んだ。弓使いにとって重要な地形の利用法もしっかり頭に入っているし、弓使いとは関係なさそうなこともたくさん勉強した。
 そしてそんな修練と勉強の甲斐あって、私は確かにうまく立ち回れるようになりました。
 実戦式の手合せの訓練じゃ、それこそ負け知らずでした。私は誰の矢にも当たらなかったし、私が狙いを付けた矢は外れませんでした。
 ちょっと偉そうになってしまったけれど、今の話はどれも本当のことで、私は私の頑張りに自信を持っています。
 でもね、そんな訓練としての手合せでは負け知らずの私だったけれど、肝心の、街の周りに棲むモンスターを相手にした実戦では、私は誰よりも弱かった。
 うん、不思議だよね?
 訓練では一番のなのに実戦ではびりだなんて。何でだと思う? ちなみに、モンスター相手に怖気づいていたわけではないよ。
 私が実践では誰よりも弱かった理由。
 それは、私の矢に威力がなかったからです。
 どんなに体を鍛えて力持ちになっても、何故か私の矢にその力が伝わることはありませんでした。
 どんなにうまく立ち回って狙いを外さなくても、その攻撃で敵を倒すことが出来なければいつまで経っても戦いに勝つことは出来ません。
 他のどんなことが出来ても、攻撃そのものに威力がないということはカバーできませんでした。
 戦いが長引いて、やがて疲れ切った私は動けなくなり、やられてしまうというのがお決まりのオチでした。
 それが私が誰よりも弱かった理由で、いつまで経っても弓使いの実力が伸びなかったという言葉の意味なんだけれど、たったそれだけのことを話すのに随分とあれもこれもたくさんのことを書いてしまったね。だけど、当時の私はやっぱり頑張っていたし、それに鬱憤も相当溜まっていたし、これくらい愚痴っちゃっても良いよね?
 そんな訳で私はいつまで経っても憧れの冒険に出かけることが出来ませんでした。
 頑張っていたのは確かだから、褒めてくれる大人や友達もたくさん居たけれど、私のことをからかう子たちもたくさん居たなぁ・・・。
 ヘネシス出身の子達、それから学院の外の幼馴染たちは大体私の味方をしてくれたけれど、街の外から来た子達には割と散々言われたよ。「敵を倒せない弓使いなんて意味ないんだ。」って、今でも思い出せるよ。
 まっ、私だってそう思うけどね。
 街の外から来た子たちは家が代々冒険家として名を馳せた家系だったり、小さい頃から強くなるために教育された、所謂エリートたちの子が多かったから、なおさらだね。
 で、当時の私はもちろんヘコんだわけです。
 いくら頑張っても強くなれない。ううん、頑張れば頑張っただけ色んな能力が伸びたけれど、一番大事な、カバーの聞かない部分でいつまで経ってもひとつも強くなれなかったわけだから。あの頃の私はもう段々訳分かんなくなっていって、いっぱい泣いたし卑屈にもなった。
 そんなある日でした。
 私に戦う力をくれた、最初の仲間に出会ったのは。
 私にはカミラって言う親友が居てね、その子は弓使い志望ではなかったけれど幼馴染で親友で、一番仲良い子なんだ。いつもカミラが一番私の頃心配してくれたし、相談にもたくさん乗ってくれた。
 そんなカミラがある時、サラダを作りたいからと言って、材料の一部を集めてきてくれと私にお願いをしました。
 その材料というのは、オレンジ色の水玉模様をした、メイプルキノコというキノコの傘。
 メイプルキノコはヘネシスの周りに棲むキノコのモンスターで、ヘネシス周辺で一番弱いモンスターです。私でもいくらか相手に出来るような相手で、このキノコの傘がまた美味しいんです。
 そんなメイプルキノコの傘を十個くらいだったかな。私に集めてくるようにカミラは頼みました。
 きっとカミラは私に自信を持ってほしかったんだと思います。メイプルキノコは私でも倒せるモンスターだし、私が集めた傘でカミラが喜んでくれて、私の集めたキノコでサラダが出来て、やっぱり嬉しかった。私の力で誰かが笑顔になってくれて、それが私には大きな体験でした。カミラは「弓使いの力で人助けをしたい!」という私の望みを、身を持って体験させてくれたわけだね。
 だけど、うん、卑屈だったんです。あの頃の私は。
 カミラが喜んでくれたことも、そのために戦えたことも、確かに嬉しかったけれど、私は苦戦しすぎたんです、メイプルキノコ相手に。他の弓使い見習い達なら一発で倒せるような相手を倒しのに、私は何本の矢を使ったんだろう。メイプルキノコの傘なんてみんなあっという間に集められるのに、私は日が暮れるまで草原を走り回っていました。カミラは私の奮闘を称えてくれました。だけど生傷をたくさんこさえた私の手当てをしながら、心配と申し訳なさそうな気持ちのこもったカミラの「ごめんね。」の一言が、私の耳には随分と長く残りました。
 自信が付くはずのその体験の中で、確かに私は色々なものを得たけれど、自信はかえってなくなってしまいました。卑屈でしょ?
 それからしばらく経ったある日の昼下がり、私は街の外に出て、そこに居る緑キノコというモンスターを見ながら、絵を描いていました。緑キノコはその名の通り緑の傘を持つキノコのモンスターで、メイプルキノコより強いけれど、メイプルキノコより大人しいモンスターです。
 私は小さい頃から絵を描くのが好きで、気持ちが沈んだり考え事があったりすると、スケッチブックを持ち出して、外で絵を描くという習慣がありました。外に出てそよ風に撫でてもらいながら、草や葉が風になびく音や小鳥のさえずりなんかを聞きながら、絵を描いていると心が落ち着きました。
 景色を描くのも楽しいけれど、モンスターを描くのが何よりお気に入り。
 モンスターにも一匹一匹個性があって、そんな彼らを眺めながら無心に筆を走らせると、なんだか気持ちが楽になってくるのです。
 あの日もそんな風に、外へ出て緑キノコの絵を描いていました。大人しい緑キノコ達は、あの時のささくれだった私の心を癒して落ち着けてくれました。
 そしてそうやって絵を描きながら、空から柔らかく振ってくる陽の光で半ば無心、半ば夢見心地になっていると、どこからともなく声が聞こえてきたのです。
「ねぇ、絵を描いているの? 私にも見せてよ。」
 それが、私と彼女の、最初の仲間との出会いでした。
 
letter from Familia Master(一通目) 「初めまして、しらゆきです。」
 うーん、まずは何から書けばいいのかな。
 お手紙自体は何度も書いたことがあるけれど、こんなに長いお手紙を書くのはさすがに初めてだから、何というか緊張してしまいます。緊張して、何から書けばいいのか分からなくなってしまうけれど、このお手紙はお友達だけに出すものじゃなくて、世界中の色んな人に宛てて出すもので、読んでくれる人の中には私のこと知らないって人も多いと思うから、やっぱりまずは、自己紹介からだよね。
 えっと、初めまして!
 私、しらゆきって言います。
 私自身はお母さんのこと覚えていないんだけれど、聞いた話によるとこのしらゆきって名前は、寒い寒い冬の、音もなくしんしんと雪の降る日に、そのしんしんと空から降ってくる雪を見上げて、積もって辺りを真っ白な銀世界に変えてしまった雪景色を見渡して、お母さんが付けてくれた名前なんだそうです。冬はあんなに寒くって、雪はあんなに冷たいのに、その寒さと冷たさがどうにも優しいものに思えてしまうことが私にはあるけれど、私にこの名前を付けてくれたお母さんも、きっと同じように感じたんだと思います。それは私の勝手な想像で、私自身お母さんと話した思い出なんて無くて、だから私はお母さんがどんな人だったかを自分で感じたことが無くて、ただ周りの人から「しらゆきのお母さんはこういう人だったんだよ。」と聞いた、お話の中のお母さんしか知らないけれど、でも、私の名前を考えてくれた時のお母さんは、きっと私と同じように雪というものを感じてくれたんだと思う。そこにはちゃんとした根拠なんてないけれど、私は筋の通った説明なんて出来ないけれど、「だって、親子だもん!」っていう、頼りないけど確かな根拠があると、少なくとも私は思うし、私はそれを信じたい。
 でも取り敢えずお母さんの話はまた今度にして、今は私はお母さんのつけてくれたこのしらゆきって名前が気に入っているってことを言いたいです。
 冬は寒くて雪は冷たくて、生き物にとってはそれだけでも辛いのに、その上食べ物だってろくに取れない。冬はそんな風に死の匂いすらしてくる季節だけれど、そんな厳しい冬の見せる辺り一面の銀世界はとても綺麗で、どこまでも続く真っ白な地平線を、その上にある灰色の空と、その中をなお降り続けるふんわりとした牡丹雪を見ると、不思議と心が落ち着きます。あんなに体を冷たくする冬のキリリとした寒さは、なぜか心を暖めてくれます。しんしんと音もなく降り積もる雪の音を、厚く積もった雪が辺りの音を吸い込んでしまう静けさを、それからそんな中聞こえる「ギュっ、ギュっ。」という雪を踏む自分の足音を聞いていると、なんだかとても幸せな気持ちになれるんです。きっとそれは、冷たく厳しい冬が私たちにくれた、ささやかな優しさなんだと思います。そんな真っ白な雪を見てお母さんが考えてくれた、このしらゆきと言う名前は、私のお気に入りです。
 何だか自己紹介がやたらと長くなってしまいました。むしろ、これは自己紹介だったのかな・・・?
 自己紹介というか名前に対する思い入れをひとしきり喋ってしまっただけな気もするけれど、私にとっては大事な名前だから、どういう思い入れがあるかを知って欲しかったし、私が大事にしているものの話をするのは、私を知ってもらうためには決して無駄にならないとも思うんです。
 そんな私はヘネシスって言う街に住んでいて、この街がどんな街化を一言で言い表すなら、長閑で気持ちの良い街です。
 ヘネシスは柔らかい下草の敷き詰められた草原にある街で、優しいそよ風に草原の草が揺れるのはまるで緑の海のようで、そんな緑の海の上に色取り取り屋根をした家々が集まっているのは、まるで浮島のようです。私はそんなヘネシスで生まれて、育って、生きてきたのだけれど、でも、ついこの間まで、長いことこのヘネシスから離れていました。それで、最近になってようやく、久しぶりに、このヘネシスへと帰ってきたのです。
 ヘネシスから離れて、ずっとどこに居たかって?
 ふふ、それに一言で答えるのは、難しいかもなぁ・・・。
 だって私はヘネシスから離れて、色んな場所に居たのですもの。ヘネシスからそう遠くない街に居たこともあれば、遠く離れた海の外に居たことだってあるし、むしろその海の中に居たことだってありました。
 つまり私は色々な街を転々としていて、それがどういうことかと一言で言い表すなら、私は冒険をしていたのです!
 そう、冒険です。
 心躍るような冒険。それでいて危険なこともいっぱいな、心臓が跳ね上がるような冒険。
 山も森も、一年中銀世界の広がる美しくも険しい環境の雪原も。
 それから冒険の代名詞とも言える洞窟にだってたくさん入ったし、塔にだって登った。
 冒険する国々も普通の国だけじゃなくって、それこそおとぎ話みたいな場所にもたくさん行きました。
 おもちゃの国に雲の上の街と公園、海の底が歩けるなんて信じられる?
 それに、未来や過去に、次元の違う他の世界や本の中の世界なんて信じられる?
 そんな信じられる無いようなたくさんの世界を、私はこの足でたくさん歩いて、そんなたくさんの世界には襲い掛かってくる敵もたくさん居て、死んじゃいそうなことだって何回もあったし、むしろ死んじゃったことだって・・・。っと、ここで全部話しちゃったら、楽しみがなくなっちゃうよね。私の冒険のことは、これからこの長いお手紙の中で少しずつ話していこうと思ってるから、良かったら付き合って欲しいな。
 でもまずは一つだけ話しておきたいことがあるんです。
 きっとみんなも疑問に思ったと思うんだけど、そんな危ない目に合いながら、見たことも聞いたことも無いようなたくさんの世界を渡り歩いて、心細くなかったか、心が折れなかったのかってこと。
 その疑問への答えは、心が折れそうになったことは何回もあるけれど、心細かったことは一度も無いよ。ってことになるのかな。むしろ、冒険に出る前の方が、私は心細かったかも。それは私の冒険にはたくさんの心強い仲間が居て、その仲間と出会った時から、私の冒険は始まったから。
 私の心強い仲間の話は、私の冒険の話には欠かせません。
 だから、まずは一番最初の仲間に出会った時の、私の親友に出会った時の、話から始めさせてもらおうかな。
 
プロフィール

しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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