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ダークヒーロー★しらゆき(93)       マジカルティーチャー★ベアトリス
もふもふベアト
いざ勉強しようって言っても、どうすればいいか困っちゃいますね。
 ほんの少し苦笑いしながら、私は言います。
 ジェイさんの魔法の勉強を見てあげることになった私は、今こうして彼の部屋へと来ているわけですが、いざ始めようとなると一体何から取り掛かっていいのかわからなくなってしまいます。いったん何かを始めると、勢いがついて、流れが生まれて、その中で次に何をすればいいのか分かってきますが、何もない所から何かを始めると言うのは意外と難しいものです。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ジェイ、貴方勉強に使っている本やノートを見て欲しいと言っていなかったかしら?
 そんな、何から取り掛かっていいのか分からない私に、魔王さまは助け舟を出してくれます。

もふもふベアト
あっ、そういえばそうでしたね。少し見せてもらえませんか?

ジェイスタンプ
はい。今出しますね。
 ジェイさんはそう言って、本棚の下についている両開きの扉の付いた棚を開いて、中をゴソゴソと探します。
 勉強を見るなら、その相手が何を勉強していて、その勉強はどこまで進んでいて、どんな風に勉強し、理解しているか。まずはそれを知ることが第一歩です。

ジェイスタンプ
どうぞ。
 ジェイさんは取り出したノートを小脇に挟み、それから本棚から何冊かの本を迷いなく抜き取り、私に差しだしてくれました。これが、彼が勉強に使っている本と、その本を読んでまとめたノートなのでしょう。
 本は、当たり前と言えば当たり前ですが、全て魔法に関するもの。先ほど外で見せた貰った「入門魔法学」もあります。
 そしてノートは、ふむ、これはなかなかですね。ページ数の多い分厚いノートは使い込まれているようで、表紙の四方は少し毛羽立ち捲れています。中の紙も少しよれていて、元々分厚いノートの中には、それを構成する紙のシワやヨレによって小さな隙間が生まれ、より一層分厚くなっています。

もふもふベアト
使い込んでますね。
 私は感心して、そう声を漏らしながらそのノートを開きます。どこか緊張したような、それでいて少し恥ずかしそうな表情で、ページを手繰る私を見詰めるジェイさん。分かります。自分のノートを見られるのって、その内容が何であれ小恥ずかしいものですよね。ちなみにその内容が日記であった場合、小恥ずかしいどころの騒ぎではなく、悶絶ものの恥ずかしさが生まれて、しばらくは顔を枕にうずめてじたばたとすることになります。
 しかしこれは日記ではなく勉強ノートなので、私は遠慮なくパラパラページを捲りながら、内容に目を通していきます。紙面にはびっしりと書かれた文字。けれどそんなびっしりとした文字はその一つ一つが綺麗な筆致で、それら文字は的確な配置で、内容ごとにブロックのようになって並べられています。一つの大きな項目があって、それが大きなブロックになって書かれ、その項目に関連のあることが周りに小さなブロックで書かれています。ブロックとブロックの間の余白には、時折注釈のようなメモが。
 たくさん書き込まれているけど、読みやすく、後で読んだ時に分かるノート。
 ジェイさんの思考が、紙の上に形となって表れた、彼の頭の中を示すノート。

もふもふベアト
机、借りますね。
 次に私はそのノートを開いたまま、丁寧に机に置いて、その横で彼が参考書として使っていると言う本を開き、椅子に座ります。
 隣り合う、本とノート。
 本の内容が、ジェイさんの頭を介して、隣にあるノートに引っ越していった。ジェイさんに分かりやすい形で。ジェイさんの解釈をそこに織り交ぜながら。
 私はその過程を辿るように、本とノートを見比べます。視線をゆっくりと、じっくりと、左右させながら、二つの紙の束を、その中にある思考の束を眺めます。

もふもふベアト
なるほど。
 しばらくそうしてから、私はゆっくりと口を開きます。それから同じようにゆっくりと振り返り、椅子に座ったままジェイさんを見ます。

もふもふベアト
私は、悪くないと思います。
 それがジェイさんのノートを見た私の感想でした。

もふもふベアト
ジェイさんは、本の内容をよく理解していると思いますし、自分の分かるように纏めるのも上手いです。ただやみくもに書くんじゃなくて、書くことで頭の中を整理しているように見えます。きっと、ジェイさんの頭の中にはもう一冊、これと同じノートが出来上がっているんでしょうね。
 頭の中の、ノート。
 本を読んで生まれた自分の解釈に、ノートに書くということを通して言葉としての明確な形を与え、それを分類整理する。ジェイさんのノートの取り方は、そういう取り方でした。そうすることで漠然としたイメージから、確固たる言葉として昇華した彼の解釈は、ノートに書かれているのと同じように、彼の頭の中にしっかりと保持されているのでしょう。落ち着いた物腰。フラフラと泳ぐことなくよく定まった視線。そんな彼自身の様子からも、彼の勉強の仕方や記憶力の良さは窺えて、だから私は彼の頭の中にはもう一冊のノートがあると思ったのです。

もふもふベアト
ジェイさん、ノートに書いたことほとんど覚えてるでしょ?

ジェイスタンプ
そうですね。時々確認するために目を通しますけど、何を書いたかは大体覚えています。
 書くだけでは、何にもなりませんからね。
 元から勉強熱心なジェイさんは勉強慣れしていて、魔法の勉強も効率よくこなしているようでした。ただ、

もふもふベアト
でもジェイさん。今よりも、もっと自分なりの解釈や発見を加えてみるのも、良いと思いますよ。

ジェイスタンプ
自分なりの、解釈や発見・・・、ですか?

もふもふベアト
そうです。それは、魔法に置いてとても大切な事なんです。
 この世界の魔法が一体どういうものなのかは分かりませんが、私は私の学んできた魔法について、彼に説明します。
 魔法には独創性が大切です。
 同じ火の魔法でも、かつて私の使った魔法と魔王さまの使った魔法とでは、大きく違っていました。それは私と魔王さまが別な人で、それぞれに個性を、違った考えを持っていたからです。
 魔法とは、その人を表わすものです。
 私が火を「火とはこういうものだ。」と思って火の魔法を使えば、私の魔法の火はその通りのものになります。魔王さまは私とは違う「火とはこういうものだ。」を持っているので、私とは違う火の魔法を使います。
 もちろん、魔法を学びたての人が使う、基本的で画一的な魔法もあります。それは魔法初心者の練習や、より難しい魔法へステップアップする時の足掛かりによく使われますが、もちろんそれ自体も使いこなせば十分強力なものです。

もふもふベアト
ジェイさんは、本の内容をそのまま理解しすぎなんです。
 ジェイさんのノートに見て取れた、ジェイさんの思考。確かにそこにはジェイさんの解釈や思惑が、本から得た内容に織り交ぜられて書き込まれていましたが、私にはそれが、もっとたくさんあったはずの自分なりの解釈を、努めて排除して残ったもののように見えたのです。

もふもふベアト
ジェイさん。本の内容を重視して、自分の思い込みや勝手な解釈を怖がっているでしょ?
 言われてジェイさんは少し目を伏せ、思案します。しかし、その思案の答えはすぐに見つかったようで、

ジェイスタンプ
そう、ですね。言われてみると確かにそういうところが、僕にはあります。
 彼はそう答えました。

もふもふベアト
うんうん。いざ、勉強するぞ、研究するぞってなると、人は自分の考えを捨てるように心がけちゃうんです。本を読むなら自分じゃなくて、作者や作品を中心に考えて、自分の解釈を排除しちゃうんです。
 私は、魔法に大事だと言った「私なりの意見」をジェイさんに伝えようとします。

もふもふベアト
確かにそれも大事です。勉強していて、てんで見当違いな解釈をしたら、勉強したのに勉強していないのと同じことになっちゃいます。だってその勉強からは、何も身についていないんですから。だけど、少なくとも魔法では、そういう見当違いな解釈も大切なんです。この本はこういうことを言っている。だけど、自分はこれを読んでこう思ったし、こう解釈して、こういう意見を持つんだ。正しく学びつつも、自分の考えも尊重する。それは結構、応用的な事ですけど、でも基本を学んでいるうちからそういう自分の考えをしっかり持つことで、自分の中の魔法を勉強の中で作り出していくことが出来るんです。
 話す私は、自分でも驚くほどに滔々と語り、それを聞くジェイさんは、私の目を見据えて言葉の一つ一つにしっかりと耳を傾けています。人見知りが激しい私は、本来そういう状況が苦手なはずでしたが、しかし今は、不思議と悪い気がしませんでした。

もふもふベアト
勉強して、それを身に付けていく中で、自分の魔法を育てて、着々と色々な物をつけたしていく。それが魔法の勉強で、魔法を作っていくことなんです。
勉強していく中で、どれだけ早くそれを始められるかで、ジェイさんの魔法も違うものになっていきます。それを早く始めれば始めるほど、ジェイさんの魔法はオリジナルなものになって、ジェイさんにとって使い勝手の良いものになります。

 思いがけず長く話してしまった私は、ようやく結びの言葉を紡ぎます。

もふもふベアト
オリジナルでよく馴染む魔法と、画一的でそれなりに使い勝手の良い魔法。どちらにも一長一短、良い所と悪い所があります。ジェイさんはどちらを選びますか?


魔王スタンプ(ヘネシス)
わらわの出番、ほとんど無かったわね。

もふもふベアト
あぁ・・・。話してる時のトランス状態が抜けて、今ちょっと恥ずかしいです。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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