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ファミリアマスターが征く!(222)       科学の洞窟
ファミリアマスターが征く! -目次-

ファミリアマスターとは?
↑初めての人は読んでね♪

前回:ファミリアマスターが征く!(221)
    -お仕事の掛け持ち-



地下鉄に向かって
 しつこい位に私を仕事に誘ってきたあの女の子は、ネーラさんと言うそうです。そのネーラさんから貰ったはじめてのお仕事が、地下鉄のモンスター退治。
 地下鉄?
 また知らない言葉が出てきました。
 どこに行けばいいのか分からないのでは、せっかく貰ったお仕事もこなせません。彼女にそう言って、地下鉄の場所を教えてもらうと、それはどうやら病院の先へ真っ直ぐ歩くと見えてくるらしいことが分かりました。
「そっか。他の街には地下鉄どころか電車すらないのよね。」
 ネーラさんは思い出したように言います。
 けれど、電車なら私も知っています。本で読んだことがあります。電車とは大きくて、まるで蛇のようにとても長い、箱型の乗り物だそうで、これもまた電気の力で動くそうです。その本には電車の写真も乗っていて、私は「へぇ、こんな大きな箱が人を乗せて動くんだ。電気の力ってすごいなぁ・・・。」と感心したのを覚えています。またその本には、そういう普通(らしい)の電車の他にも、おもちゃの王国ルディブリアムを走ると言う、とてもメルヘンチックな汽車と言う名前の電車の写真も乗っていて、私は写真からでも伝わるその楽しげな造形に、思わず時間を忘れて見入ってしまったのでした。
 しかし、今は仕事です。
 しかも、この仕事は急ぎだとネーラさんも言っていました。
 私は電車のことを頭から追い出して、地下鉄の場所を教えてくれたネーラさんに短くお礼を言って、目的地へと向けて歩き出します。病院の前から出発して、続く赤銅色のレンガ道を通って、目的の地下鉄へ。モンスター退治のお仕事と言うことで、エリネルからついてきてしまった新しい仲間のファミリアを連れて。今回連れていくのは、あの元気いっぱいのマンドラゴラの二匹、カブのカブっちとタマネギのタマちゃんです。二匹ともエリネルの森とは正反対の、この工業的で近代的な景色に、少し興奮しています。

地下鉄入り口
 やがて、私たちは目的の地下鉄入口へと付きました。
 ネーラさんの言っていた通りの建物。公園にある東屋のような建物です。ネーラさんの言っていた通り、屋根には「subway station」と書いてあります。この東屋こそが地下鉄の位置口です。東屋の中はすぐ下り階段になっていて、その奥には白みの強い灰色をした薄明りに照らされた、地下の空間が広がっています。
 なんだか洞窟みたい。
 カニングシティにある近代文明の象徴、地下鉄を前にして、私はそんなどこか見当違いの感想を持ちます。けれど、生まれてこの方地下になんて足を踏み入れたことも無く、また数々の冒険小説を読み漁ってきた私には、地下イコール洞窟と言うイメージが、どうしても拭い去れなかったのです。
 生まれて初めての洞窟。
 初めて入る地下鉄を、いつの間にか洞窟に置き換えて、私はこのほの暗い下り階段を下りていきます。


初めての地下
 初めて吸う地下の空気は、なんだかとてもしっとりとしていて、けれどそれはどこかかび臭く、しっとりするのと同時にじっとりともしていました。どこか重々しくて、けれど寒々しい景色とは裏腹に少し暖かい空気。なんだか少し落ち着く、地下の空気。
 そんな不思議な空気に満ちた地下に外の明かりを取り入れるのはあの東屋のような入り口だけで、しかもそのわずかな外明かりも夕闇の薄暗いもので、小さな入口から取り入れられたわずかな光は、より一層弱々しいものでした。にもかかわらずこの地下の空間は、壁や天井の隅などには強い影を落としているものの、全体として十分な明るさに満ちていました。自然なものではない、少し病的な白さを湛えた薄明るい光が、この地下空間を満たしています。
 きっとこれが、噂に聞く「蛍光灯」の明かりなのでしょう。
 電気の力を使ったランプ。夜を昼に変える科学の力。よく探せば天井にそれらしきものが付いています。時々チカチカと瞬き、ジーっと言う耳鳴りにも似た不思議な唸りをわずかに上げる、白い光を放つ細長い筒。今まで見たことのない種類の光を放つそれは、私には科学の力の結晶のように見えました。
 蛍光灯の他にも、地下には私の目を引く色々な物がありました。
 きっと電車に乗るために必要なチケットの売り場らしき部屋の上の壁には、リナさんの家で見せてもらった、けれどそれよりもずっと大きい、ビクトリアアイランドの地図がかかっています。そのさらに上の天井にはあの蛍光灯だけではなく、もっともっと太く、頑丈そうなコンクリートで出来た筒が張り巡らされています。張り巡らされたその筒の間には、筒が蛍光灯の明かりを遮って作った強い影が落とされています。それに、この街に来てからとかく見かける「TELEPHONE」と書かれた機械らしきものも、階段の下に見えます。階段を下りた先には作業着に身を包み帽子を被った人の良さそうな人が立っていて、その先にはこれまた科学的、機械的な見た目をした、恐らく地下鉄のさらに奥へと続く入口らしきものがあります。入り口の先には、ボーっとした白く薄暗い光に照らされた、地下鉄の奥が・・・。
 ここは、地下鉄の駅。
 けれど、電車の走るというこの地下鉄に、主役の電車の姿は見えません。きっともっと奥に行くと、電車は走っているのでしょう。私はその電車のことも気になりましたが、今はネーラさんに頼まれた急ぎの仕事をこなさなくてはなりません。彼女はジュニアレイスと言うモンスターを退治してきてくれと言っていました。まずは電車よりもそのモンスターを探しましょう。もしかしたらあそこに立っている作業着の人が、そのモンスターについて知っているかもしれないと思った私は、とりあえず彼に話しかけてみることにします。

駅員さんの説明
「あの・・・、すみません。」
 作業着の彼に話しかける私。こんなところに一人突っ立っているこの不思議な人話しかけるのは、少し勇気がいりました。
「どうされました?」
 しかし彼は、話しかけた私に対して愛想よく応じてくれました。この街に来てからは、怖そうに見えるおじさんたちや、厚化粧にやたらと露出の多いローブを着た魔法使いらしき人、それからこちらが戸惑ってしまうほどに押しの強いネーラさんなど、一風変わった人ばかりを目にしていたので、彼のこのちょうど良い愛想の良さに私は少し安堵します。
「えっと、ジュニアレイスって言うモンスターを知りませんか?」
 そんな風にいくらかの安心を得たからか、私の口はいつものようにしっかりと回りはっきりと言葉を発してくれました。
「あぁ・・・、もしかして誰かからの依頼ですか?」
 ここには私のような仕事で来る人が多いのか、彼は私のその質問だけで事情を察してくれて、説明をしてくれました。
 まず、彼はこの駅の駅員だということ。駅員とは駅で働く人で、雑貨屋さんや武器屋さんの店員さんの駅バージョンみたいなものだそうです。そんな彼は電車に乗るお客さんだけでなく、私のような誰かからの依頼でここまでやってきた人もたくさん見送ってきたそうです。地下鉄に住み着き悪さをするモンスター退治に来た人。駅や地下鉄での失せ物を探してくれるように頼まれてやってきた人。何かの調査に来た人。電車に乗るお客さん以外にも、そんな仕事でやってくる人が大勢いるそうです。
「君はこの街の人間じゃないだろう?」
 そんな、とてもたくさんの人を見てきた彼には、私が余所者であることなんて一目瞭然、お見通しでした。
「ジュニアレイスならこの奥に住み着いているけれど・・・。」
  そう言って彼は地下鉄の入り口の向こうの、奥の方を指さします。
「ここにはそれ以外にもたくさんの、暗闇を好むモンスターがたくさん生息しているんだ。モンスター退治なんて引き受けてやってくるくらいだから、実力には自信があるんだろうけど、十分に気を付けてくださいね。」
 どうやら科学の力の結晶・地下鉄にも、モンスターはたくさん住み着いているようです。私はジュニアレイスの居場所を教えてくれたことと、私を心配して注意をしてくれたことにお礼を言って、彼に背を向け地下鉄の奥を目指します。


いざ、地下鉄へ!
 本当なら入場料がいるらしいけれど、仕事できた人はタダではいれるらしいので、そこはラッキーでした。
 入り口で仕切られた、駅と地下鉄。この入口を超えた先に、暗闇を好むモンスターの住み着く地下鉄が広がっています。暗闇を好むモンスターとは一体どんなモンスターでしょうか。ネズミのモンスターとか、大きな虫のモンスターとか、もしかしたらオバケなんかも出るかもしれません。そう考えると少し怖くなるけれど、私はこれは大事な仕事なんだと自分に言い聞かせ、また、まだ見ぬ電車への気体で自分を鼓舞して、ジーっと静かな音を立て続ける蛍光灯の放つ、ここよりもいくらか暗い薄明りの満ちる地下鉄の空間へと足を踏み出すのでした。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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