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ダークヒーロー★しらゆき(97)       魔王様と美しき黄昏時
 ジェイの魔法の勉強を見るのに夢中になっていたわらわ達。気が付くと窓の外から差し込む光は、白から赤へと変わっていた。白い光を含んだ、淡く、それでいて激しい、オレンジの光。夕方の、焼けるような光。
 勉強に夢中になっていたからか、二人とも時間が経つのも忘れていたようだ。そんな二人は窓の外の夕焼けの様子に気が付いて、少し慌てたようにして今日はお開きと言うことになった。わらわ達の帰り際、ジェイはとても嬉しそうに、何度もお礼を言っていた。魔法の勉強に新しい活路が見えたのが、よほど嬉しかったのだろう。
 そんなお礼ばかり言うジェイに見送られて彼の家を後にしたわらわ達は今、夕焼け空に包まれたヘネシスの街を歩いている。
 ジェイの物覚えの良さや熱心さについて、わらわ達は少し言葉を交わしたけれど、それはほんの少しのことで、わらわ達はどちらからともなく、ほとんど黙ってこの夕焼けの空の中を歩いた。
 辺りに高い建物も樹木もないこの草原の街では、くるりと回れば揺れる下草やそう高くない家々や樹木の向こうに、空が三六〇度広がっていた。まるで空に包まれたこの草原の街。低い平地にありながらも、遥か天空に浮かぶ空の島のように空の中にあるこの街。
 そんな空に包まれた街に見える夕焼け空は、辺りを一面黄昏色に染めていた。
 草原の街を包む夕焼けの光は、なんだかとてもはっきりとした色彩を持った強い光に見えて、けれどそれは沈みかけた太陽の今にも消えてしまいそうな光で、強くはっきりとした光という見た目とは裏腹に、それは今にも消えてしまいそうな、弱く儚いものだった。
 まさに黄昏時。まさに黄昏色。
 そんな光に包まれた夕方の帰り道には、口数も自然と減ってしまうというものだわ。わらわとベアトはそんな黄昏た空と心地良い沈黙に包まれて、リナの家へと続く家路をのんびりと歩いた。
 リナの家に帰れば、彼女のことだから、きっと美味しいご飯を用意してくれているに違いない。
 今日の晩御飯は何かしら?
 ふと、そんな子供みたいなことを考えて、そんなことを考えたことがわらわには、なんというか、とても愉快だった。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふはははは、魔王さまのお帰りよ。

もふもふベアト
ただいまです、リナさん。
 わらわは少し間延びした声でやる気なく魔王の凱旋を告げ、ベアトはただいまの語尾にですなんてつけた、恐らく正しくはない用法の敬語で、それぞれリナに帰りを告げた。

リナさんスタンプ
あら、お帰りなさい。遅かったわね?
 コトコト煮える鍋をお玉でかき回しながら、リナは振り返りわらわ達を言葉でもって迎え入れる。

魔王スタンプ(ヘネシス)
えぇ。青キノコの胞子を届けたついでに、ジェイに勉強を教えていたの。

リナさんスタンプ
勉強を?

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうよ。最も教えたのはベアトだけどね。この子賢くて、説明も上手いから。
 わらわのその言葉に少しだけ面映ゆそうにするベアトは、それを誤魔化すかのようにリナのところへと駆けていき、彼女に聞く。

もふもふベアト
うわぁ、美味しそう。今日の晩御飯は何ですか?
 鍋を覗き込みながら聞くベアト。晩御飯が何か知りたかったのなら、鍋の中身を見るかリナに尋ねるか、そのどちらかで事足りただろうに。面映ゆそうにしているのを誤魔化したベアトのその行動は、どこか子供っぽいもので、先ほどまるで子供みたいな考え事をしていたわらわと重なった。今日は二人とも、そういう日なのかしらね。まぁ、悪くないわ。そういうのも。

リナさんスタンプ
今日はビーフシチューよ。

モフモフベアト(ニコニコ)
わぁ。ベアトそれ好きです。

リナさんスタンプ
ふふ、良かったわね。
 今はどこか子供っぽいベアトに応じるリナもまた、まるでお母さんのようだった。こうしてみると親子ね。微笑ましいわ。
 何はともあれ、勉強の話はいったんお流れになったようだ。
 わらわは袖をまくりながらリナの方へと歩いていく。

魔王スタンプ(ヘネシス)
手伝うわ、リナ。

リナさんスタンプ
あら、ありがとう。相変わらずいい子ね。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふん、子ども扱いしないで。わらわはそこのお子様ベアトとは違って、淑女なのよ。

もふもふベアト
淑女。
 その二文字だけを繰り返して、からかうように笑うベアト。

魔王スタンプ(ヘネシス)
黙りなさい。さぁ、この世のものとは思えない、美味しいビーフシチューを作るわよ。

リナさんスタンプ
ふふっ。この世のものとは思えないって、それじゃまるで不味いみたいじゃない。

魔王スタンプ(ヘネシス)
あら、それもそうね。そう言われたら何だかそんな気がしてきたわ。
 鍋をかき混ぜるリナの横で、香辛料を見繕うわらわ。落ち着きのあるリナと話すのは結構楽しい。
 それに、どう?
 わらわとリナのこのどこか奥ゆかしいような触れ合いのさまは。さぞかし美しいでしょう?崇めてもいいのよ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうそう。不味いといえば、あの青い胞子は何?リナ。

リナさんスタンプ
青い胞子?青キノコの胞子のことかしら?

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうよ。あれを食べるだなんて、正気の沙汰じゃないわ。青は食欲を減退させる色なのよ。

もふもふベアト
ゲテモノ食いの魔王さまの台詞とは思えないです。
 わらわのことをゲテモノ食いだという、ベアトのこの何度目かの失礼な発言は無視する。

リナさんスタンプ
そこまで言うなんて、食べたのかしら?

魔王スタンプ(ヘネシス)
食べてないわ。食欲が減退させられたもの。

リナさんスタンプ
まぁ、確かにそのまま食べて美味しいものではないけれどね。胞子だし。でも、使い方次第で料理の良いアクセントになるし、目には本当にいいのよ?どちらかと言うと、薬に近いものね。あれは。

魔王スタンプ(ヘネシス)
へぇ・・・。それなら少し納得できるわね。
 あの不味そうな青い胞子は、どうやら食べ物と言うよりは薬に近いものだったようだ。良薬は口に苦し。あの不味そうな見た目に、目に良いということが帰って納得させられた。

 ベアトに眺められながら、二人で料理を作り始めてしばらくが経った。ビーフシチューは香辛料の効いたとても良い香りを立ちのぼらせ、その香りを昇らせるシチューにはとろみがつき表面に艶を帯びている。シチューはリナに任せて、わらわは野菜を切って、綺麗に盛り付けて、パパッとサラダを作る。そして今日の主食は白いご飯だそうで、それは既にふんわりとした様子で炊けていた。
 眺めているだけだったベアトに配膳を手伝わせて、食卓を整える。
 青キノコ狩りに勉強の面倒にと、ハードではないにしろ今日は頭も体も一所懸命に働いた日だった。
 ふんわりとしたご飯の食感。熱々のビーフシチューの自然な甘みとスパイシーな香り。それを冷ますのは瑞々しいサラダ。
 一仕事した後のご飯はやっぱり最高ね。
 更けていく夜の中で、わらわ達は楽しい夕食時を過ごした。


もふもふベアト
あぁ、ビーフシチュー美味しかったです。魔王さまってゲテモノ食いの癖に料理のセンス良いですよね。

魔王スタンプ(ヘネシス)
一言余計よ。
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Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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