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ダークヒーロー★しらゆき(100)       魔王様とエルフの弓使い
 魔王と名乗ったわらわに、驚きの色を隠せないエルフ。目を見開き、噛みしめる奥歯に、驚きの色の中に混ぜられた緊張の色が見て取れる。エルフは手にした弓を握る力を、恐らくは無意識に強める。弓が、少し軋んだ。
 やがてエルフは落ち着きを取り戻し、弓を握る強い力に気付きそれを弱める。
 ふふっ、いきなり攻撃してこないのは褒めてあげるわ。それはあまりにも美しくないし、何より恐ろしいまでの力を持った魔王に、何も考えずに攻撃を仕掛けるなんて、ただの自殺行為だもの。
 そんな賢明なエルフは弓を構えて矢を放つ代わりに、わらわに質問を浴びせはじめた。

ヘレナスタンプ
魔王と言いましたね?それは、暗黒の魔法使いと何か関わりのある者ということですか?
 あんこくのまほうつかい?
 ふむ、なんだか聞いたことがある気がするわね、それ。
 聞き覚えのあるその単語を、しかしその意味をどうしても思い出せないわらわを見かねて、ベアトがその暗黒の魔法使いとやらについて教えてくれた。

もふもふベアト
かつてこの世界を恐怖に陥れ、征服したといわれている、この世界の魔王みたいなものですよ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
あぁ、アレね。思い出したわ。
 わらわは思い出した。その暗黒の魔法使いが何かと言うことを。そしてそれに対して抱いていた、少し小馬鹿にしたような感情を。暗黒の魔法使いが何かを教えてくれたベアトに答える声にも、思わずかすかな嘲笑のようなものが混ざる。
 そう、思い出した。
 小者よ。暗黒の魔法使いなんて御大層な名前を付けて粋がっている小者だわ。
 聞くところによればそいつはかつて、絶対的な魔力を手に入れてそれを振るい、この世界を恐怖に陥れ征服したのだという。恐怖で縛りつける、典型的な小者の世界征服を果たした、この世界のかつての魔王。いえ、そんな小者を魔王と呼んでは、魔王と言う言葉の品位が貶められてしまうわ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふん、そんな小者と一緒にしないで。わらわはそんなものより余程恐ろしく、強く、そして美しい、真の魔王なのよ。
 わらわはその暗黒の魔法使いとやらの、美しくないやり方が気に食わないのを思い出して、少し遅れてエルフにそう答える。
 そう、恐怖で縛りつけるなんてスマートじゃないわ。ジェイと初めて会った時に聞かせてもらった、彼の読んだ物語に出てきた征服者もやっていたそのやり方を、わらわはどうにも気に入らないのだ。そんなやり方は真の征服とは言えない。その証拠に、真の征服をしていないその物語の中の征服者は立ち上がった民衆たちにやられてしまったようだし、暗黒の魔法使いとやらも、詳しくは知らないけれど結局倒されちゃってるじゃない。強い力を持ってそれを見せつけるのは、世界征服にとって大事なことだけれど、その見せつけた力で従わせるなんてやり方は美しくないのよ。
 美しい者は、力を見せつけるのではなく、「魅せつける」のよ。
 絶大な力を魅せつけて、そして自らの偉大さを魅せつけて、人々を魅了し心を征服しつくすのが、真の征服者であり魔王なのよ!

ヘレナスタンプ
真の魔王・・・?
 物思いに耽り、真の魔王の美しさに思いを馳せ、悦に入っていたわらわに対して、わらわの言葉を聞いてわらわと同じようにしばらく物思いに耽っていたエルフは、やがて疑問の声を上げた。きっと、わらわの言った真の魔王と言うものの意味を掴みきれなかったんだわ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
そう、真の魔王よ。

ヘレナスタンプ
真の魔王とは、何ですか?
 相変わらず警戒に身を固くしたまま、エルフは問う。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふ、そんなにびくびくしなくていいわ。貴女、さっきからまるでリスみたいだわ。可愛らしいわね。
 エルフはわらわのその言葉に、警戒に固くした表情の中にほんのりと赤みを浮かべた。
 もう、貴女があんまりにもおっかなびっくり警戒しているから、少しからかっちゃったのよ。貴女が悪いんだからね。だって貴方、びくびくしすぎて本当にリスか何かみたいなんだもの。

もふもふベアト
魔王さま、あれはびくびくしているんじゃなくて、臨戦態勢をとっているんだと思いますよ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
どっちだって一緒よ。強大な敵を前にしても、わらわならもっと堂々としているわ。
 ふふん、と胸を張って言うわらわ。

ヘレナスタンプ
・・・質問に答えてください。真の魔王とは何なのですか?
 からかわれたエルフは怒りを抑えつけたように、再びそう問いかける。そう言えば、その質問にはまだ答えていなかったわね。

魔王スタンプ(ヘネシス)
きっと、説明しても分からないし、それをクドクドと言葉で説明するのも美しくないわ。
 質問への答えを求めるエルフに、しかしわらわはそう言い放つ。

魔王スタンプ(ヘネシス)
でも、そうね。わらわはこの街を征服しに来たの。だから、わらわを見ていればきっと、そのうち真の魔王が何なのかも分かると思うわ。

ヘレナスタンプ
征服ですって・・・?

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうよ。わらわはこの街を征服しに来た。つまり、乗っ取りに来たのよ。
 わらわのその言葉に、エルフは吊り上げた目を今度は冷徹に細めて、真一文字に結んだ口の力を抜く。その表情からは先程までの険しさが取り除かれていたけれど、代わりにそれは何とも言えない空恐ろしさを含んだ表情だった。
 怖気を振るわせる様な、冷たい表情。
 強い力を持った者だけが見せることの出来る、精神が深く統一された時の表情。
 薄々感づいてはいたけれど、このエルフはこの街で「一番強いの」ね。わらわはこの街にやってきた時に、一番強くて偉いのをやっつけて街を乗っ取ろうとしていた。生憎街で一番偉いスタンは「強いの」でもなんでもないただの老人だったけれど、どうやらこの街にはちゃんと「強いの」も居るらしい。


ヘレナスタンプ
つまり貴女は、この街を襲いに来た、敵と言うことですね?
 別に襲いには来たわけではないけれど、まぁ、あながち間違いではないわね。

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうね。わらわはこの街を乗っ取りに来た。それは、この街にとって敵と言うことなのかもしれないわ。

ヘレナスタンプ
そうですか。
 からかいも、尊大さも取り下げて、わらわはどこか素っ気なく答える。そんなわらわの答えに、エルフは静かに言って、目を閉じ、下を向いた。
 いつの間にかそよ風は止んでいた。楽しげに揺れていた下草は今はただじっとその場に立っている。あの街の賑わいの音はそよ風が運んできていたのか、そのそよ風の止んだ今は街の喧騒もどこか遠くのものに聞こえる。小鳥たちもいつの間にか歌うのをやめていた。
 目を閉じてじっと俯くエルフ。
 まるでそのエルフに合わせるかのように、街外れの草原にも静かさが満ちていた。静かな草原に、ただ陽の光だけが燦々とさす。

ヘレナスタンプ
申し遅れました。私はヘレナと言います。
 やがて、エルフは俯いたまま名乗った。
 ヘレナ。
 聞いたことがあるし、きっとそうだと思っていた。この街にあるという弓使い学院の校長にして、大陸最強の弓使いの名だわ。

ヘレナスタンプ
そして私は、この街を守り手です。モンスターや暗黒の魔法使いの軍勢、その他さまざまの悪しき者から、この街を守るのが私の使命。
 ヘレナゆっくりと顔を上げながら告げる。

ヘレナスタンプ
貴女はこの街を乗っ取りに来たといいましたね。正直、貴女の言っていることはよく分かりませんが、貴女が敵だということだけは分かりました。
 そしてヘレナは顔を上げ切り、目を見開き、はっきりと言うのだった。

ヘレナスタンプ
貴女を、排除します。


もふもふベアト
なにこれ。痛々しくないですか?

魔王スタンプ(ヘネシス)
馬鹿ね、これくらいがかっこいいのよ。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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