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ダークヒーロー★しらゆき(102)       魔王様とげんこつ
 とりあえず一回は死んだなと覚悟したわらわを救ったのは、ベアトだった。
 ベアトはかつて、魔界にいた頃は無類の強さを誇る、最強と言っても過言ではないほどの魔法使いだった。けれど今、この世界に来てわらわと同じくかつての力を失ったベアトは、一通りの魔法こそ使えるものの、それはてんで魔力と威力の伴わない、戦いなんてからっきしの魔法使いのだった。
 そのベアトが、わらわに一切の抵抗を許さず、圧倒的な力で勝負を決めたヘレナを相手にその弓を下ろさせたのだ。
 それも、ただ言葉だけで。声だけで。
 ベアトの声には、一種異様な気迫に満ちていた。その声にはなんの感情も込められていなくて、ただひとえに冷たいものだった。何も込められていない、無機質な声。それなのに、何故かどうしようもなく鬼気迫るものに聞こえるその声が、ヘレナの手を止めたのだった。

ヘレナスタンプ
貴女は?
 そんな異様な声の主に尋ねるヘレナ。その声には警戒と、わずかなおそれの色が混じっていた。弓は下ろしたもののわらわへの牽制を怠ることも出来ず、恐らく未だかつて聞いたことの無いような声を出すベアトへの警戒と恐怖。それらに板挟みになったヘレナは、しかし毅然とした態度でベアトにそう尋ねる。

もふもふベアト
私は、ベアトリスと言います。
 自分のことを、私と言う。この声と言い、無機質に発せられ自己主張の乏しいその一人称と言い、それはかつて、ベアトと出会ったばかりの頃によく聞いたものだった。
 そういえば、ベアトは昔、こんな声を出していたんだわ。
 わらわはこの冷たい声を懐かしみ、それがよくこんなに明るくなったものだとしみじみと思う。ここからでは見えないけれど、きっとベアトの表情もその頃と同じもので、とても冷たい目をしているのだろう。

もふもふベアト
私たちは何も、この街をどうこうしようと思ってやってきたわけではありません。

ヘレナスタンプ
・・・・・・。
 わらわにはどこか懐かしく思えるその声と表情に、ヘレナは圧倒され、もはや身動きが取れなくなっていた。しかし、それでもそのベアトの言葉に、引き下がることも出来ないヘレナは反論する。

ヘレナスタンプ
何を言っているのですか?この方は先程、確かにこの街を征服しに来た。と言っていました。
 そうよそうよ。勝手なこと言わないでちょうだい。わらわはこの街を征服しに来たの。この街をどうこうしようと思ってやってきたのよ!

もふもふベアト
征服しに来たとは言いましたが、それはこの街を破壊してやろうとか、住民を苦しめてやろうとか、そういう意味ではないんです。

ヘレナスタンプ
しかし、征服とはそういう意味ではないんですか?

もふもふベアト
そうですね。でも、この人は馬鹿ですから、そういう言葉を使いたがるだけなんです。
 誰が馬鹿ですって!人が身動き取れないのをいいことに!

もふもふベアト
とにかく、私たちは何もしませんから、この場は引いてもらえませんか?貴女だって、私たちが街に来てから随分経つのに何事も起こしていないのは知っているでしょう。何なら、私たちはリナやカミラ、それにジェイと仲が良いですから、彼らに話を聞いてみても構いません。

ヘレナスタンプ
・・・・・・。
 しばし沈黙するヘレナ。

もふもふベアト
どの道、貴女程の力があれば私たちが何かしでかしたとしても、すぐに始末できるでしょう。
 今、何だか馬鹿にされたような気がしたわ。

ヘレナスタンプ
・・・いいでしょう。私も貴女達のことは話には聞いていましたが、どうにも言動に不穏な所があるようだったので様子を見に来ただけですから。そうしたら、征服だの乗っ取るだの言われて、つい不安になって、頭に血が上っていたようです。

もふもふベアト
ありがとうございます。

ヘレナスタンプ
子供の一風変わった遊び。とでも捉えておけばいいのですね?

もふもふベアト
それで構いません。

ヘレナスタンプ
まぁ、貴女もこの人もただの子供には見えませんがね・・・。今日はそういうことにしておきます。
 ヘレナがそう言うと、ベアトはあの異様な気迫を放つオーラを取り下げた。わらわからはベアトとヘレナの様子はさっぱり見えないのに、そのことがひしひしと伝わってきた。

ヘレナスタンプ
それでは、失礼します。
 下草を踏む音が聞こえ、それは段々遠退いていく。。ヘレナが帰っていくのだ。ふふ、今なら背中ががら空きだわ。不意打ちには持って来いよ!でも、わらわはそんなことしないわ。なぜならそれは卑怯で、美しくないから!
 ・・・・・・。
 まぁ、負けちゃったしね。それも圧倒的な力量差で。それだけでもみっともないのに、さらに不意打ち仕掛けるなんて、どれだけ惨めなのよ。しかも、不意打ち仕掛けたって、きっと見破られて返り討ちだわ。今度こそ殺されちゃうわね。

もふもふベアト
・・・・・・。
 ベアトが近づいてくる気配がする。

魔王スタンプ(ヘネシス)
もう、お付きに助けられるようじゃ・・・
 近づいてくるその気配に、そしてこのなんだか気まずい雰囲気に、わらわはお道化て笑いながら振り向こうとするも、出来なかった。
 振り向こうとするわらわの頭に、ゴンっ、と強めの衝撃が走って、それでベアトに向かって振り向くはずだったわらわは思いがけず揺れる下草とにらめっこするはめになったのだ。

もふもふベアト
いくら死なないからって、ベアトの目の前でそんな死に方しようとしないでください。このアンポンタン魔王。
 頭に走った衝撃は、ベアトの力任せのげんこつだった。
 そしてげんこつが来たのと同じ方向から浴びせかけられたその声はあの無機質さを微かに湛えたままどこか泣きそうで、それを聞いたわらわは顔を上げることが出来なかった。


もふもふベアト
なにこれ青春。

魔王スタンプ(ヘネシス)
その台詞でせっかくの青春も台無しね。
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Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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