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ファミリアマスターが征く!(227)       天国の光
ファミリアマスターが征く! -目次-

ファミリアマスターとは?
↑初めての人は読んでね♪

前回:ファミリアマスターが征く!(226)
    -おいで病院-



病院内部
 ふと思い立ち、足を踏み入れたおいで病院。
 そこにはどうにも不思議な寒々しさと清潔感が満ちていました。
 無人の病院に満ちる、それらの不思議な感覚。その不思議さは、エリネルで目にしたような数々の神秘的な不思議さとは正反対の、なにか異様な、不思議と言うよりも不可思議な感じがしました。
 ともすれば不気味な、異様な清潔感と寒々しさ。
 それは少し、あの地下鉄に似ていました。
 あの地下鉄には清潔感なんてさっぱりなかったけれど、それでも何故か、この空気はあの地下鉄のものに似ていました。

声が聞こえる
 そんな名状しがたい空気に満ちた、おいで病院の中。
 ふと、声が聞こえた気がしました。
 はっとして、周りを見回してみても、やっぱり人影も、人の気配もありません。
 それにその声は、まるであたり一面の壁全体から聞こえてくるようで、それでいてとても微かでボンヤリとしたものだったような気がしたのです。
 誰も居ない病院の中で、人の声が聞こえるなんてありえない。
 まして、そんな不可思議な聞こえ方をするなんて、ありえない。
 空耳だ。
 私はそう思うことにしました。
 そして、その空耳になんとなく居心地の悪くなった私は、この病院から立ち去ろうと思いました。
 誰も居ないんじゃ、泊まらせて下さいって頼むことも出来ないしね。勝手に泊まる訳にも行かないし。
 うん、そうだよ。
 それじゃまるで泥棒か何かだよ。
 よし、帰ろう。
 ・・・・・・。

「待って・・・。聞こえてるでしょう・・・?」
 声が、もう一度聞こえました。
 さっきと同じくひどくボンヤリとして、どこから聞こえているかもはっきりと分からないような、声。
 その声には病院に満ちる空気と同じ感じが、異様なまでの寒々しさと、ともすれば清潔感のあると言えてしまうような、透き通る感じがありました。今まで、声と言うものに清潔感なんて感じたことがありません。
 ありえない聞こえ方をする、不思議で、まるでこの世のものではないような声に、私は空恐ろしくなると同時に、どうにも、ひどく心を惹かれてしまうような感覚に襲われました。
 悲しいくらい寒々しくて、綺麗と言うのとも少し違う、清潔感のある透き通った声。
 そんな声は、私の心をひどく揺さぶり、惹きつけました。
「ねぇ・・・。寒いの・・・。」
 寒々しい声は、訴えます。
 本当に寒そうに、感じているのであろうその寒さを、声に乗せて。
「私は、上に居るわ・・・。外から回って、上がってきて・・・。」
 上に居るというその声は、しかし右から、左から、下から、そしてその声の言うとおり上からも、全ての方向、全ての壁から聞こえてくるようでした。

病院二階へ
 そんな声に導かれて、私は半分夢の中に居るかのような心地になって、声の言うとおり外に出て、病院の壁に見つけたはしごを使って病院の二階へと上ります。
 夢のような心地と言っても、夢見心地と言うわけではありません。あの暖かくて、幸せで、何かに包み込まれるような感じと、私が今感じている感覚は、かけ離れていました。
 けれど、私が感じているこの感覚を言い表すには、その夢のような心地と言う言葉が一番適切で、私は夢の中に居るように、足元がおぼつかず、全身の感覚は体の周りに何か膜を張られたかのように不明瞭で、頭の中の思考は判断力を失っていました。
 まさに、夢の中に居るような、心地。
 そんな夢見心地と言うにはあまりにも寒々しくてよそよそしい感覚の中、私は声に導かれるがまま、病院の二階へと入っていきます。
 入り口にかかる、おそらくは電気の力で光を放っている、立ち入り禁止の看板にも目をくれずに。
 看板は赤々と光り、その存在を主張して、その立ち入り禁止と言う警告に強い彩りを与えていたのに。

正体不明の女
 病院の二階には、不思議な白い光が満ちていました。
 壁一面にこれでもかという程にならんだ換気扇の隙間から差し込む、白い光り。
 透き通り、清潔感に満ち、とても暖かく感じるであろう色彩を放つその光には、しかし病院内に、そしてあの声に満ちる、寒々しさが満ちていました。
 カニングシティは夕暮れ時。
 外か白い光が差し込むなんてありえない。
 ありえない声と、ありえない光。
 そのありえない光は、まるで天国の光みたいだなと思いました。
 死後の世界に満ちる、生者には寒々しく、そして切ないとしか感じることの出来ない、美しい光。
 私達と、私達の前から去って行ってしまった人たちの間を阻む、儚くも美しい光。
 そんな、光の中。
 光に照らされながらも、深く、それでいて透き通るような影を湛えた、包帯で顔の半分を隠された一人の女の人が居ました。
 包帯に覆われて顔が半分見えないその人を見て、私は綺麗な人だな、と思いました。
 同じ女性なのに、男性がきっとそう思うように。
 ううん、性別なんて超越して、狂おしいように、かき乱されるように。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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