FC2ブログ
2018/12
≪11  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   01≫
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
魔王城へようこそ! サンプル(2)
昨日に引き続き、「魔王城へようこそ!」のサンプルです。

この記事は、諸事情で帰宅が遅れ、31日の午前2時半の更新となりました。
一応、寝る前には更新できましたが、更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。



「私はもう済ませましたので、ここで待っていますね。」
 フレデリカは朝ご飯を食べる大広間の扉の前で立ち止まり、言った。
 フレデリカはいつも、わらわを起こしに来る前に朝ご飯を済ませてしまっていて、ここまではわらわと一緒に来るのに、この先をわらわと一緒に歩いたことはない。前に、
「見てるだけでいいから、一緒に来て?」
 と言ってみたけれど、フレデリカはなんだか困ったようにはにかんで、
「見ていたら、食べたくなっちゃいます。」
 と言ったわ。
「そしたら、食べればいいじゃない。」
「あはは、二回も朝ご飯を食べたら太っちゃいます。」
 なるほど、それは大問題ね。
 フレデリカはレディだもの。体重も気になるわよね。
 だからわらわはそれで納得して、それからフレデリカを朝ご飯に誘ったことはないわ。だけど待っている間も退屈だろうから、
「待ってなくてもいいわよ?わらわ、お部屋にくらい自分で帰られるんだから。」
「ふふ、平気ですよ。私は魔王さまを待っているだけで楽しいんです。それに・・・、」
「それに?」
「ここで魔王さまを待って立っていたら、運動になりそうじゃないですか。」
 わらわは立っているだけじゃ運動にならないんじゃないかと思ったけれど、フレデリカが良いならそれで良いのかなと思って、それ以上は何も言わなかったわ。
 そういうわけだから、今日もフレデリカにここで待ってもらって、わらわは朝ご飯を食べに大広間へと入っていく。
 大広間は名前の通りにとても広くて、そして廊下にあったロウソクよりも大きな、そしてたくさんのロウソクの灯に照らされて、柔らかな光の空間を作り出している。
 ご飯を食べるのにぴったりな、柔らかいロウソクの火に包まれた大広間。
 そんな大広間にはたくさんの、それはそれは長いテーブルが並べられていて、そのテーブルにはまばらに、しかしそれなりにたくさんの人が座っていて、賑わいをみせている。
 長テーブルに座っているのは、みんなこのお城で働く従者。
 わらわは従者が何かよく分からないけれど、どうやらわらわやお父様のために働いてくれる人たちらしかった。お洗濯をしたり、お掃除をしたり、悪者がお城に入ってこないか見回りをしたり、それからこの朝ご飯も、ご飯を作る係りの従者が作ったらしいわ。わらわは初めはそれが何となく疑問で、具体的にはわらわやお父様のために働いてくれているというところが疑問で、なんでみんなわらわたちのために働いてくれるのかフレデリカに聞いてみると、
「みんな魔王さまのことが大好きだからですよ。」
 と、いつもの答えが返ってきた。
 けれどわらわはその答えじゃ納得できなくて、だって、お掃除とかお洗濯とか大変でしょ?納得できない気持ちが顔に出たのか、わらわの顔を見たフレデリカは説明を付け加えてくれた。
「もちろん、魔王さまたちのお世話だけじゃなくて、従者の方々はそれぞれのお世話もしていますよ。洗濯係は魔王さまたちの洗濯物だけじゃなくて自分たちの洗濯物やご飯係の洗濯物もしますし、ご飯係だって魔王さまたちのご飯を作りながら自分たちと洗濯係のご飯を作ります。みんながそれぞれの仕事を持っていて、役割分担をしているんです。」
 へぇ、そうなのねぇ。とわらわが感心していると、その様子を見たフレデリカはさらに言った。
「そうやって役割分担をするから、便利に、楽しく暮らせるんです。誰も何も仕事をしなかったら、今頃このお城は滅茶苦茶で、きっと人が暮らせるような場所じゃなくなっていますよ。」
 ふーん、そうなのね。確かにこのお城は広いから、一人でお掃除しようとしたって無理だものね。それにこの広いお城のお掃除が終わるころにはきっと日が暮れてしまって、それじゃあご飯はいつ作るの?ってなっちゃうものね。だから、係を決めてみんなでお仕事をしているのね。
 わらわがそんな風に、フレデリカに教えてもらったことを、今度は自分の言葉でフレデリカに話してみると、
「さすが魔王さまです。賢いです!」
 と、フレデリカは頭を撫でながら褒めてくれたわ。
 ふふ、わらわ賢いだって。エッヘン!
 そんな、役割分担をしている従者たちは、大体がそれぞれの係に分かれて纏まって、楽しげにお喋りしながらご飯を食べているわ。
 洗濯係はあのテーブル。お掃除係はこのテーブル。その他の係たちもそれぞれ纏まって同じテーブルについている。仲の良い係同士で近いテーブルに座ったり、時々自分の係のテーブルを離れて、他の係のところへ遊びに行く人もいる。そういう人は大体が元気な、どうやら人気者みたいで、遊びに行った先のテーブルで賑やかに歓迎されている。
 ただ、ご飯係だけはここに居ない。
 このご飯だってご飯係が作ってくれたもので、ご飯係はこれからも続々とやってくる従者たちのために、もっともっとご飯を作らなきゃいけない。だから、ご飯係のご飯は、他のみんなより遅めで、みんなとは別に食べるらしい。
 わらわはその大広間の中を廊下の時みたいに、みんなのみんなの挨拶に囲まれながらゆっくりと歩く。みんな笑顔でおはようを言ってくれるから、わらわも目いっぱいの笑顔でおはようを返す。
 そんな風に、挨拶をしながらゆっくりと歩くわらわは、やがてお目当てのテーブルへと辿り着く。
「あっ、魔王さま!」
「魔王さま、おはよー!」
「魔王さま今日も可愛いですねー。」
 ひときわ賑やかな、そのテーブル。
 他の係のみんなよりも、どこか砕けた感じの、このテーブルのみんな。
 ここは、夜の見回りをしてくれる係のテーブル。廊下にあった、夜の見回り係のためでもあるあのロウソクは、ここのみんなのためのものらしい。
 夜の見回り係はその名の通り、みんなが眠っている夜の間に、お城に悪者や泥棒が忍び込んだりしないか見回る係。お城のみんなが、そしてわらわが、安心して眠れるのは、このテーブルでご飯の真っ最中のこの人たちのおかげらしかった。
 そんな夜の見回り係は、みんな物凄く強いらしい。
 それはそうよね。見回りをして悪者と出くわしても、強くなかったら捕まえたり追い払うどころか返り討ちにされちゃうもの。だから見回り係はみんな強い人たちなのだけれど、そんな見回り係の中でも夜の見回り係は本当に強いらしくて、格闘の達人に、剣や槍なんかの武器の扱いのベテランに、凄腕の魔法使いだっているらしいわ。らしいって言うのは、わらわは実際に彼らの戦うところを見たことがないからなのと、彼らと話していてもそういう感じが全くしないからよ。しかも誰が格闘の達人で、誰が凄腕魔法使いか聞いてみてもみんな教えてくれないから、わらわは誰がどう強いのかもわからない。能ある鷹は爪隠すってやつね。
 そんなみんなは、とっても気さく。
 すごく強い、戦いのベテランなんて聞くと、なんだか体格の良くて気難しいのを想像しちゃうけれど、ここのみんなはそんなこと全然なくて、とっても気さくで、他の従者のみんなよりも、なんだか砕けた感じでわらわとも付き合ってくれるの。他の従者のみんなはなんだか丁寧すぎるのよね。それはもう人によってはよそよそしく感じるくらい丁寧で、昔なんて、わらわ嫌われてるんじゃないかって本気で悩んでたんだから。
 だからわらわは、朝ご飯はここのみんなと一緒に食べるのが習慣なの。たまに他の係のテーブルにも行くけれど、大体がこのテーブルよ。
「魔王さま、何食べます?ライスに、パスタに、パンにシリアル。なんでもござれですよ!」
「しかもパンは種類がいっぱいで、ナンやベーグルだってあります!」
「今日はパンの日なんですねー。いつもはこんなに種類ないのに。」
「魔王さまパン好きだもんね。よかったじゃないですか。」
 みんなの言う通り、今日はいつもよりもたくさんの種類のパンが、テーブルの上で選り取り見取りに並んでいる。丸くて、ツヤツヤの皮をしたいかにも朝ご飯といった感じのバターロール。丸みを帯びた綺麗な四角に切られた、硬い耳に真っ白でふわふわの生地が守られた食パン。ドーナツみたいに円い円いベーグルは、見ているだけで楽しくなる。それにモチモチのナン!
「うーん、これだけあると迷っちゃうわ・・・。」
 わらわはそんな選り取り見取りのパンを前にして、すごくすごく、迷ってしまう。わらわはまだ小さいから、そんなにたくさん食べられないの。だから、ここは慎重に選ばなくっちゃいけないわ。
「うわぁ、迷ってる魔王さま可愛いなぁ。」
「お前さっきからそればっかりな。」
 さっきからわらわを可愛い可愛いと言うのは、見回りメイドのお姉さん。彼女は子供が好きらしくて、その中でもわらわは特別らしい。可愛い可愛い言われるのは嬉しいけれど、もう、子供扱いしてくれちゃって!いえ、わらわ子供なのだけれどね?でも、子供なのと、子供扱いなのは、違うわよね?
「よし、決めたわ。」
 わらわは意を決して、一つのパンを手に取る。
「まずはこの、しっとりベーグルよ。」
「キャー!魔王さま、ベーグルの穴覗き込んでみてっ!」
「そろそろ黙れよ・・・。」
 メイドのお姉さんと、行き過ぎて訳の分からないことを言い出したお姉さんにツッコミを入れるお兄さんのやり取りも、いつも通り。
「魔王さま、覗き込まなくていいからね?こんなの無視していいからね?さぁ、しっとりモチモチベーグルも、早く魔王さまに食べてほしいって言っているぞ!」
 捲し立てるお兄さん。
 そこでわらわは、ふと疑問に思った。しばらく前から、時々頭をもたげる疑問が、ふと浮かび上がった。わらわはその疑問について考えながらベーグルを味わい、そのしっとりとした食感を楽しみ、全部食べ切ったところでお兄さんに疑問について訊ねてみた。
「ねぇ、エヴァン。」
 あ、エヴァンって言うのはお兄さんの名前ね。ちなみに可愛い可愛いのお姉さんはルーシアね。
「みんなわらわのことを魔王さまって呼ぶわ。」
「はい?そりゃ、そうですよ。魔王さまは魔王さまですもん。」
「じゃあ、魔王さまって、なに?」
 少しぽかんとするエヴァン。
 これがわらわの疑問だった。
 わらわは生まれた時から、もちろん生まれた時のことなんか覚えていないけれど、それでも話に聞いて知っているし、そして何より物心ついた時から「魔王さま」だった。
 みんなわらわのことを魔王さまって呼ぶし、そのせいなのか、はたまた他の何かがあるのか、わらわも自分のことを「魔王さまなんだな」って思ってるわ。
 だけど、魔王さまって、いったいなに?
エヴァンやルーシアに見回りの役割があって、洗濯係には洗濯係の、お掃除係にはお掃除係の役割があるように、魔王さまの役割ってなに?
「みんなわらわのことを、魔王さまって呼ぶわ。」
 エヴァンは相変わらずぽかんとしたままだったので、わらわはわらわの疑問を詳しく説明する。
「でも、わらわは魔王さまが何なのか知らないわ。何もしていないのに生まれた時から魔王さまって呼ばれていたし、だからわらわもわらわは魔王さまなんだって思っていたけれど・・・、」
 わらわの疑問は確かにわらわの中にあるのに、それを口にしようとすると意外と難しくて、わらわの言葉は尻すぼみになる。
「でも、わらわは魔王さまが何なのか知らないの。エヴァンは知ってる?」
 わらわは尻すぼみになりかけていた言葉を無理やりに、わらわの疑問の一番根っこの部分に結び付けて、聞いたわ。
「うーん。魔王さま、かぁ・・・。」
 そんなわらわの曖昧な質問に、しかしエヴァンは子供の質問と適当に受け流すこともせず、うーんと唸り、わらわと一緒に悩んでくれた。
「魔王さまかぁ・・・。うーん・・・。」
 悩んでくれているけれど、答えはまだ出ないみたい。この疑問は、お兄さんのエヴァンにも難しいものだったのかしら。
「魔界の、王様じゃないんですか?」
やがてエヴァンは、ゆっくりと、考えながら言った。
「うん、魔界の王様。しっくりくる。」
 ゆっくりと言った後で、その答えに納得したようにエヴァンは繰り返した。
「私もしっくりくるかも。魔王さま王冠かぶる?作ってあげるよ?」
「だからお前は。魔王さまが悩んでるのに茶化すなよ。」
 ルーシアもそれに乗ってくる。
「えー、茶化してないよぅ。だって王様って言ったら王冠でしょ?」
「・・・まぁいいわ。うん、お前はそれでいいよ。」
 魔界の王様。
 確かに響きはしっくりくるわね。だって魔王さまだもの。「魔」界の「王さま」で、「魔王さま」。うん。
 でも、わらわは王様じゃないし、王様になるようなこともしていないわ。それに、
「でも、魔界の王様はお父様でしょ?」
 そう、魔界の王様はお父様なのだ。
 お父様は大魔王と呼ばれていて、大魔王のお父様はその名の通りにこの魔界と魔族を治めている。魔族と言うのはわらわやエヴァンみたいな人のことで、魔界に住んでいる人は大体魔族よ。もちろん、可愛い可愛いのルーシアも魔族よ。
 魔界に住んでいる人は大体魔族って言うのは、魔族じゃない人も住んでいるから。魔族じゃない人たちは、人間って言うらしいわ。深い森の奥とか、険しい山の頂とか、ジメジメした底なし沼の広がる湿地のど真ん中なんかには、その人間っていう人が住んでいるらしいわ。人間たちは本当は人間の世界に住んでいるらしいのだけれど、魔界のそういう沼とか、森とかには、はぐれものみたいな人間が、小屋なんかを立てて一人で暮らしているらしいの
 その人間って言うのは、わらわやエヴァンみたいな魔族と姿はよく似ているけれど、魔族には付いているツノや、それからこれはわらわにも付いていないけれど羽なんかも、人間には付いていないらしわ。それから人間はみんな魔法がとっても上手で、変な場所に住んでいることから想像できる通りに、ほとんどが偏屈な性格をしているらしいわ。わらわはまだ人間を見たことがなくって、見てみたいって言っても、「危ないから駄目です。」って止められるのだけど、いつかはこの目で見てやるんだから。
 でも、今は人間じゃなくて、魔王さまよ。
 今しているのは、魔王さまの話。
「そうですねぇ、魔界の王様は大魔王様ですよねぇ。」
「私大魔王様も好きだよ?だって渋くてかっこいいじゃん。」
「そうなると、魔王さまって何なんでしょうね。いったい。」
 エヴァンはついにルーシアを無視する。そして、疑問はまた振出しに戻る。
 時期大魔王、つまり王女さま。
 大魔王の娘に与えられる何かしらの肩書き。
 果てはニックネーム。
 色々なアイデアが出たけれど、結局どれもしっくりこなかった。魔王さまって一体何なのか。
 エヴァンはわらわと一緒になって真剣に考えてくれたけれど、答えは出なかったわ。たくさん考えて相談して、まだベーグル一個しか食べていなかったわらわはなんだかお腹が空いてきて、
「魔王さま、このカボチャすごくおいしいですよ!ホクホクです。大当たりですっ。」
 と、いつの間にか話し合いから抜けて朝ご飯の続きを楽しんでいたルーシアの、カボチャを勧める声によって、わらわたちの話し合いは中断させられた。


いかがでしたでしょうか?
この後手直しを加えますが、とりあえずはこんな感じのお話です。
それでは、お読みいただきありがとうございました!(*゚ー^)ノ
スポンサーサイト
 
Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。