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ダークヒーロー★しらゆき(108)       魔王と巨像-最後の一撃は、切ない。-
 その様子はどこか不躾で、けれどとてもサマになっている、いかにも魔王といった風でした。
 やがて、魔王さまは寺院へと辿り着きました。
 寺院と、周りの草原との、境目。
 魔王さまの目の前には、朽ちかけて苔むした、こちらに向けてまるで口を開けるように間を開けて建てられた、一対の塀が。きっと寺院への入り口の、門のようなものなのでしょう。
 その門の前に立って、門の先の寺院を見詰める魔王さま。
 ふと寺院へと目をやると、何体かのゴーレムたちが魔王さまを見返していました。
 朽ちかけた門を挟んで、見つめ合う魔王さまとゴーレムたち。
 よく見ればゴーレムたちも、寺院と同じように年季の入った姿をしていました。肩や頭の上を深い苔に覆わせて、所々小さく身体を欠けさせたゴーレムたち。
 寺院と同じ荘厳な空気を漂わせたゴーレムたちが、彼らを見詰める魔王さまを、じっと見つめています。
 ふと、魔王さまがゆっくりと、右足を上げて前へと一歩踏み出しました。
 ゆっくりと前へと進んでいく、魔王さまの右足。
 前へ前へと踏み出されていく右足は、やがて森の中の草原と、さらにその中にある寺院の境目である朽ちかけた門を超えて、

 ふさ、

 と、その門の先にも続く柔らかな下草を踏む音さえ響いてきそうな静寂の中、魔王さまの踏み出した右足は今、寺院の中の敷地を踏みしめました。
 寺院へと、侵入を果たした魔王さま。

 その途端。

「ヴォー!」
 と、低く唸るような声を石の身体の奥から響かせて、魔王さまを見ていたゴーレムたちが一声啼きました。
 彼らは石の身体の奥から発したその声の響きを、石の身体の中に小さな山彦のように残留させたまま、魔王様へ可能な限りの早足で向かってきました。
 大きくて、きっと重いであろう大きな石の身体を揺すって。
 そして、魔王さまはその様子を見ても何も思わない様子で、もう片方の左足を、右足に続けて踏み出して、右足の隣に着地させました。
 ついに、完全に寺院への侵入を果たした魔王さま。
 その魔王さまに向かってくる、大きな石の身体のゴーレムたち。
 先程までは何とも思わない様子でそれを見ていた魔王さまの雰囲気が、寺院への侵入を完全に果たした今、ふっ、とまるで周りの空気まで変質させてしまったかのように変わりました。
 魔王さまの背中しか見えないこちらからは、魔王さまには見た目には何の変化もありません。
 けれど確かに、私は魔王さまの周りの空気が変わったことが分かりました。
 不敵で、尊大で、神をも恐れぬ魔王の邪悪なオーラが、寺院の中の空気を徐々に侵し、広がっていきます。
 魔王さまは今、どんな顔をしているのでしょう。
 口の片方だけを吊り上げた不敵な顔。
 目を爛々と光らせた、獲物を見付けた獣のように凶悪な顔。
 はたまた何も思っていないかのような、のっぺりとした無表情。
 魔王さまの背中しか見えないこちらからは、魔王さまが今どんな顔をしているかなんて見当も付きません。けれど魔王さまの放つオーラは、今挙げてみせた全ての雰囲気を内包していて、私に魔王さまの今の表情をあれこれと想像させるのでした。
 そんな何とも言えない邪悪な雰囲気を纏った魔王さまに、ゴーレムたちはどんどんと近づいていきます。
 対する魔王さまはその場に立ったまま動きません。
 大きな石の身体のゴーレムたちは、その見た目の割には足が速くて、動かない魔王さまとの距離をどんどんと縮めていきます。
 段々と、確実に縮まっていく距離。
 やがて、ゴーレムたちが魔王さまの目の前へと辿り着きました。
 私はそこでゴーレムがいったん止まるのかと思いましたが、ゴーレムたちは立ち止まらず、意外と速いその勢いのまま、先頭を歩いていたゴーレムが、魔王さまに向けて思い切りパンチを繰り出しました。
 魔王さまに向けて放たれた、大きくて硬い石の腕の繰り出す、重い重いパンチ。
 しかし、空を切るゴーレムのその拳は、そのまま腕が伸びきるまで空を切り続け、魔王さまに当たることはありませんでした。
 ゴーレムの拳が魔王さまの居た場所に到達した時、魔王さまはそこに居ませんでした。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふっ。見た目の割には素早いのね。良いパンチだわ。
 そして、居なくなった魔王さまの声が、パンチを繰り出したゴーレムの背後から。

魔王スタンプ(ヘネシス)
けれど、悲しいわね・・・。
 魔王さまの声はその言葉通りにほんのりと哀愁を帯びて、次の瞬間、ヒュっと何か細い棒状の物が空気を切るような音がして、それに続いてガっと何か硬いものが叩かれるような音がしました。
 そしてその音を石の身体の内側に響かせながら、パンチを繰り出したゴーレムはゆっくりと倒れていきました。

魔王スタンプ(ヘネシス)
貴方達には、わらわを捉えることは出来ないわ。
 ゴーレムが倒れたことで、その背後に居た魔王さまの姿が露わになりました。
 倒れたゴーレムを見下ろして、そしてその背中を他のたくさんのゴーレムたちに見下ろされて、堂々と立ち誇る魔王さまが、そこには居ました。


魔王スタンプ(メラメラ)
ヴォー!

モフモフベアト(メラメラ)
ヴォー!
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Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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