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ダークヒーロー★しらゆき(109)       真っ赤に焼かれた鉄の靴
 目にも止まらぬ速さで魔王さまに倒されてしまった最初のゴーレム。
 その出来事に、つい先ほどまで先頭を切って魔王さまに向かっていき、そして今は倒れているゴーレムに、他のゴーレムたちは石で出来た無機質で無表情な顔に、見た目には何の変化も無いながらも、確かに戸惑いの色を浮かべていました。
 しかし、そうしていたのも束の間。
 ゴーレムたちはふと我に返り、今度は一斉に、魔王さまの背中へと襲い掛かります。
 魔王さまは背中越しにその気配を感じて、先ほどのゴーレムを倒した時よりも小さな動きで、けれど同じくらい素早い動きで、その一斉攻撃を躱します。
 魔王さまがスっと動いたことで、ふわりと揺れた黒い髪。
 それは水のようにさらりと流れ、魔王さまに一歩遅れて付いていきます。
 とても艶やかな、美しい黒髪。
 魔王さまに一斉攻撃を仕掛けながらも華麗にそれを躱されてしまうゴーレムたちは、彼女のその黒髪にすら触れることが出来ません。
 まるで魔王さまが、それを許していないかのようです。
 ゴーレムたちに、自分に触れることを一切許さない魔王さま。
 魔王さまは誰よりも自由で、だからゴーレムたちは魔王さまを捉えることが出来ない。
 魔王さまのその自由さは、彼女の動きにも見て取れました。
 まるで重力からも解き放たれたかのように、ふわり、ふわりと軽い身のこなしで並み居るゴーレムたちの攻撃を躱し続ける魔王さま。重力を離れて、ゴーレムの攻撃をかいくぐって、ただ自由に、動き回る魔王さま。
 ゴーレムは様々は手段で魔王さまに攻撃を加えようとします。
 ゴーレムの主な攻撃手段はパンチのようで、だからあの先頭を切っていた彼も魔王さまにパンチで先制しようとしたし、今こうして休むことなく攻撃を繰り出しているゴーレムたちも、そのほとんどが魔王さまに向けてパンチを放っています。
 けれど、何もゴーレムはパンチしか出来ないわけではないようです。
 パンチの嵐が繰り出される最中、両腕を大きく振りかぶって魔王さまを捕まえ、羽交い絞めしようとする者もあれば、同じく両手を振りかぶり、両の手を合わせ、まるで大きな石のハンマーのようになったその手を彼女の形の良い頭に振り下ろそうとする者もあります。
 寺院から遅れてこちらへと向かってきたゴーレムは、その勢いのまま魔王さまに突進し、体当たりしようとする者も居たし、こっそり近づいて足を引っかけようとする、巨体に似合わないというか、その巨体では無理だろうと思われるような動作をやってのける者もありました。
 しかし、魔王さまはその全てを華麗に躱してしまいます。
 漂うように、踊るように、ひらりひらりと、ふわりふわりと、ゴーレムたちの猛攻を、いともたやすく躱し続ける魔王さま。
 それもそうです。
 ゴーレムたちは確かにその巨体の割には素早かったですが、それはあくまで巨体の割にはと言う話。
 あのヘレナの、まるで一本の稲妻のように奔る矢を躱し続けた魔王さまです。何本もの目にも止まらぬ、恐ろしいまでのスピードと物量を誇るあのさみだれの矢を、躱し続けた魔王さまを、たかがゴーレム如きが捉えられるわけがないのです。もっと強い魔力に満ちた場所に生まれるような、強力なゴーレムならまだしも、歴史と雰囲気こそ満ちていても魔力にはそこまで恵まれていないこの場所で生まれたゴーレムなどに、魔王さまが捕まるわけがないのです。
 魔王さまはまるでそれ自体を楽しむかのように、ゴーレムたちの攻撃を躱し続けます。
 口の端に仄かな微笑を灯して、長い睫毛を伴わせた澄んだ青い目を切れ長に細めて、踊るように、ううん、ゴーレムたちの猛攻を踊りながら躱し続けて、色っぽい流し目で彼らを見遣ります。
 艶やかな表情に、流れる水のようにさらさらと揺れる黒髪。
 魔王さまはゴーレムのことを芸術作品だといいました。
 けれど、その芸術作品は魔王さまを決して捉えることが出来ず、むやみやたらに当らない攻撃を繰り返すばかりでその品位を落としてしまっています。
 今や、魔王様こそが芸術でした。
 持って生まれたその美しさを振り乱して、それでいて舞うように上品で、乱と品を絶妙なバランスでその身に宿して、踊り続ける魔王さま。
 これこそが、魔王さまの戦い。
 魔王さまが数々の試練の中で見出した、魔王さまの戦い。
 やがては世界を征服する魔王さま、そして私の心を征服しきっている魔王さまは、常に美しくなくてはならないのです。魔王さまはその美しさで、全てを征服するのですから。
 そんな風にして、戦いながら踊っていた魔王さま。
 一切攻撃を加えず、ただただ躱すことだけをしていた魔王さま。
 やがて彼女は、その艶やかな表情の中に一片の狂気を宿して、ふっと立ち止まりました。
 口の端に見せる、狂おしいまでの邪悪。
 石の身体のゴーレムも、疲れは感じるのでしょう。息を切らした彼らですが、その中の一体が、ここぞとばかりに力強いパンチを、魔王さまに向けて繰り出します。
 動き続けていた魔王さまとゴーレムたちの間にほんの一瞬訪れた静寂。
 そしてその一瞬の静寂を破って、繰り出された大きく硬い拳。
 一連の光景をずっと見ていた私には、まるで時の流れが緩慢になってしまったかのように、拳が空を切りながらゆっくりと、魔王さまに向かっていくのが見えました。
 そしてそれを見ながら、あぁ、やってしまったな。と思うのです。
 取り返しがつかない。
 魔王さまに、もうすぐ拳が到達する。
 私は憐れみすら感じます。
 あんな邪悪な顔をした魔王さまに、手を出してしまうなんて。

 キンっ。

 と、硬質な音が静寂な空気を裂きました。
 魔王さまは、あのモップにしか見えない伝説の鉾を片手で持って、それでゴーレムのパンチを軽く受け止めたのでした。
 黒いローブの袖口から覗く、魔王さまの白い白い、雪のように白い細腕。
 それが、一本の棒切れを持って、巨体から繰り出された硬い拳を受け止めているのです。
 魔王さまの口の端に見えた、狂おしいまでの邪悪が、その色を強めていきます。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふふっ・・・。ダンスのお相手をしてくれて、ありがとう。楽しかったわ。
 囁くようなその声は、不思議と良く通って、遠くで見ている私にも、まるで耳元で囁かれているかのようにはっきりと、そして艶やかに聞こえました。

魔王スタンプ(ヘネシス)
だから今度は、わらわが貴方達を躍らせてあげる。楽しい舞踏会は、これからよ。
 魔王さまが魔王たる所以を、私はその邪悪な口の端に確かに見ました。


魔王スタンプ(ヘネシス)
しらゆき姫の恐ろしい継母は、最後には真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされて、踊り狂って疲れて死んでしまうのよ。

もふもふベアト
ちなみに改訂を重ねる前では継母では無く実母ですね。童話えげつない。
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Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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