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ダークヒーロー★しらゆき(117)       征服しちゃった!
ジェイスタンプ
ベアトリスさん・・・
 カミラと話す私たちの元へと、静かに近づいてきたジェイさん。
 彼の表情は何だか不思議なもので、見送りのための笑顔に、少し寂しげな色を混ぜたような、そんな何とも言えないような表情を彼はしていました。
 口の端を穏やかに上げて、目尻を緩やかに下げた、ほんのりとしたジェイさんらしい笑顔。しかしその笑顔は、特にその目は、寂しさを隠しきれていないようでした。

もふもふベアト
ジェイさん。
 そんな彼に名前を呼ばれた私は、それに答えます。

もふもふベアト
これでお別れですね。時々は戻ってくるかもしれないけど、ひとまずはお別れです。
 言ってから気付いたのですが、私のこの物言い、なんというか淡白です。もう少し気の利いた言い方もあったのではないでしょうか。

ジェイスタンプ
そう、ですね。でも、時々戻ってきてくれたら、やっぱり嬉しいです。
 そんな淡白な私の物言いに、しかしジェイさんはそれを淡白だと捉える事無く、あの不思議な雰囲気を顔に、言葉に乗せて、私の言葉に応じます。
 私もジェイさんも、読書好きで、どちらかと言うと引きこもりがちで、会話は要点を掴んですんなりと交わす方です。私たちはそんな所が少し似ていて、だからジェイさんは私のともすれば淡白に聞こえかねない物言いも、その表面に惑わされずにちゃんと理解してくれて、彼も自分の言いたいことを言ってくれました。
 時々戻ってきてくれたら、嬉しい。
 なんというか、少し安心してしまう言葉です。
 魔王さまと私は別な世界からこの世界にやってきた旅人。言ってしまえば根無し草です。そんな私たちを待ってくれる人が出来たということを、ジェイさんのその言葉に私は感じて、私らしくも無く、不意にそんな安心を感じてしまうのでした。

もふもふベアト
そうですね。魔法もまだまだ、見てあげなくちゃいけませんからね。
 そんな私らしくないような気持ちを感じた私は、どこか素直じゃなくて、ついついこんなことを言ってしまいます。これじゃまるで、魔王さまみたいです。

ジェイスタンプ
あはは、そうですね。だいぶコツは掴めたとはいえ僕はまだまだですから、魔法も見てもらいたいです。だけど・・・、
 ジェイさんは私のそんな強がりに同意して、しかしその言葉の最後にだけどと言って、その先を続けるかを少しだけ迷っています。そして、やがて、

ジェイスタンプ
でも、それだけじゃなくて、ベアトリスさんに会いたいからですよ。せっかくこうして知り合えたんだから、やっぱりたまには会いたいです。なんというか、話も合いますしね。
 と、素直すぎて少し気恥しくなってしまだけおうような台詞を、彼は言いました。
 なるほど、確かにこれは少し言うのをためらってしまうような台詞です。だけど言ってしまえば何てことはなくなってしまったのか、ジェイさんは今はもう何事もなかったかのような顔をして、どこ吹く風と言った様子です。
 むぅ、何だか私だけ恥ずかしがっています。
 これは少し悔しい。私、師匠なのに。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふはは。やるわね、ジェイ。
 そんな私たちのやり取りを黙って見ていた魔王さまが、唐突に口を開きました。さっきまでまるでどこかに行ってしまったかのように静かで、気配すら感じさせなかった魔王さまですが、一風変わった尊大な口調の、このお喋りが始まれば、今までどうしてこの人のことを忘れていたんだろうと思う程の存在感を、魔王さまは放ちました。

魔王スタンプ(ヘネシス)
見なさい。ベアトが照れているわ。
 そしてそんな存在感を放つ魔王さまにはデリカシーなんてものは欠片も無くって、私の少し気恥しい気持ちを彼女は暴露してしまいました。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふ、可愛いわ。良いもの見れたわ。でもね、ジェイ。
 そこで言葉を区切って、魔王さまはニヤリ、悪戯っぽい笑みを浮かべます。

魔王スタンプ(ヘネシス)
これ以上は、ダメよ。ベアトを口説こうったって。わらわが許さないんだから。
 などと、いつかのようにお父さんのようなことを魔王さまは言います。
 全くもう、余計なお世話だし、

ジェイスタンプ
あはは!何ですかそれ。そんなつもり、ないですって。
 カラカラと笑うジェイさん。
 余計なお世話だし、てんで見当違いってもんです!

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふ、そう。ならいいわ。
 そしてそんなジェイさんを見て魔王さまはふんわりと笑います。その笑顔からは、彼の言葉を信じたのか、信じなかったのか、窺い知ることは出来ません。私は魔王さまのことなら誰よりも知っていると自負していて、彼女の微妙な表情の変化も見逃さない自信がありますが、こうして時折見せる彼女のこんな微笑は、どこかミステリアスなものを含んでいて、さすがの私もこの顔をしている時の魔王さまの気持ちは分からないのでした。

ジェイスタンプ
あっ。
 そして私がそんなことを考えて、わずかな間に物思いに耽っていると、ジェイさんが唐突に声を上げて、私のその物思いを中断させてしまいました。

ジェイスタンプ
もちろん、魔王さんにも会いたいですよ。魔王さんと話してると、なんというか、面白いです。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふふ、貴方もちゃんとわらわを崇めているようね。偉いわ。でも面白いってなによ。失礼しちゃうわ。

ジェイスタンプ
はは、そういうところが、面白いんですよ。
 そうして言葉を交わしあう二人。
 さっき大きく笑ったからか、そして魔王さまが面白いからか、ジェイさんの表情からはあの寂しさが消えていて、今は彼の顔には楽しげ笑顔そのものが浮かんでいます。
 笑うジェイさんに、待ち人が増えて楽しみも増えたカミラ。このまま旅立ったら、それはきっと良い旅立ちになるでしょう。

魔王スタンプ(ヘネシス)
そうそう、魔王軍の話、忘れていないわよね?
 そんなもうすぐ旅立つんだということを感じさせる空気の中、魔王さまが思い出したように、そして最後の確認をするように、ジェイさんに言います。

ジェイスタンプ
はい、忘れていませんよ。僕は魔法を覚えて強くなったら、魔王さんの魔王軍に入ります。ヘネシスからは、出られませんけどね。
 ジェイさんはそんな注釈をつけて、魔王さまの言葉に同意します。魔王さまもジェイさんも、魔王軍の話、本気だったんだ・・・。

ジェイスタンプ
なんて言ったって僕は・・・、
 ジェイさんはそのまま言葉を続けて、先ほどの魔王さまと同じように悪戯っぽい笑顔を浮かべてみせました。

ジェイスタンプ
魔王さんとベアトリスさんを、崇めていますからね。
 言って、ふふっ、と笑うジェイさん。
 むぅ、こういう冗談のスキルは、私にはないものです。まさか早速、弟子に負けてしまうとは。

魔王スタンプ(ヘネシス)
よしっ。良い心がけだわ!
 そしてそんなジェイさんの言葉に、魔王さまは満足げに頷いて、強く言い放ちます。

魔王スタンプ(ヘネシス)
これで安心して、旅立てるわ。
 そう言って、ジェイの手をがっしりと握って握手して、魔王さまはくるりと、何の未練もないといった風に、踵を返してみせました。
 そう、旅立ちの時が来たのです。

もふもふベアト
ジェイさん。きっと戻って来るし、時々お手紙出しますね。そのお手紙で、魔法の授業を続けましょう。

ジェイスタンプ
いいですね、それ。ありがとうございます。
 踵を返して歩き出した魔王さまを見て、私はジェイさんに手短にそう告げます。
 ジェイさんはそれを同じく手短に受け入れ、私たちは魔王さまと彼がしたように、握手を交わしました。
 握手が済んで、私はそれを少し惜しんで、だけど魔王さまはきびきびと歩くから遅れないように、私は彼女の背中を追います。
 真っ黒なローブに、揺れる艶やかな黒髪。
 星の無い黒色の夜空に、滑らかな墨まで垂らしたかのような、そんな贅沢な黒い髪を追って、私は駆け足。
「頑張ってね!」
「お土産、楽しみにしてるから!」
「お手紙待ってます!」
 そんなたくさんの声援を受けて、黒髪を揺らしながら歩き続け、振り返らずに手だけ軽く上げて、それをヒラヒラと振る魔王さま。
 ヘネシスの街並みに、最初はコスプレか何かに見えた魔王さまの姿は、今はそんな風には見えませんでした。
 声援を受けて悠然と歩く魔王さまのその姿はとても堂々としていて、威厳に満ちていて、なんというか、やっぱりこの人は魔王なんだなと、私は感じたのです。
 それが街の人々の声援のためなのか、それとも寺院で起こった魔王さまの心境の変化のためなのかは、分かりません。
 ただとにかく、魔王さまは今、この街を征服した、美しい魔王にしか見えませんでした。


魔王スタンプ(ヘネシス)
征服しちゃったわね。ヘネシス。

もふもふベアト
そうですねー。うん、今日は茶化さないでおいてあげます。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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