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ダークヒーロー★しらゆき(132)       夜は焼け落ちた生
 あれから私たちは風の防げるようなちょうどいい岩場を探して歩き回りました。
 ペリオンは乾ききった荒野で雨なんてめったに振らないだろうから、雨を防げる必要はなかったのですが、それでも吹きすさぶ風はなかなかのもの。この風をもろに受けながら夜を過ごし、眠りにつくことはさすがに出来ないということで、私たちは雨風ならぬ風だけを防げる場所を探して歩き回ったのでした。
 街にいる時は止んでいた強い強い風は、今再びその力を取り戻し、砂に土に石ころを蹴散らし飛ばして、私たちの髪をバサバサと嬲り続けています。
 きっとペリオンの街は、風の吹きにくい場所に立っているのでしょう。
 風というものはそこの地形によって強くなったり弱くなったりします。ペリオンはきっと、この荒れ果て、岩の足場の入り組んだ荒野の中で、そんな風の吹きにくい地形を探し出して建てられた街なのでしょう。
 もしくは、街全体の地形がちょうど大きな風よけの役割を果たしてくれているようになっているか。
 実際の所街がどういう風に建てられているのか私は知りませんでしたが、しかし街に風が吹きにくいということだけは確かでした。
 だって、街につく前にあれだけ轟々と吹きすさんでいた風は街に近づくうちにいつの間にか弱まりほとんど止んで、そして街を出た途端にその風は再び力を取り戻したのですから。街にいる時だけちょうど風が止んでいたなんて思えませんし、街にいる時だって空を仰げばあの砂煙を含んだ灰色の雲は凄まじい勢いで流れていっていたのです。だから、街にいる時に風が止んでいたのではなく、街にだけ風が吹いていなかったのです。
 さっきから私はずっと風の話ばかりしていますが、それだけこのペリオンの荒野という場所は、風の吹く場所でした。
 ヘネシスからずっと北。
 乾ききった岩場の荒れ果てた荒野として名高いこの土地は、しかし同時に風の土地でした。
 ペリオンは荒野の街と呼ばれ、風の街とは呼ばれていないのはきっと、街だけに風が吹かないことと、荒野ということは目に見えることで、写真なんかでも伝わることだけれど、風はそれ自体は目に見えないもので、写真なんかでは伝わり辛い事だからなのでしょう。
 荒野の街とか、草原の街なんて言うのは、得てして街の外の人たちが名付けるものだからです。
 すっかり陽が落ちて、辺りが暗くなった今、私は一人で岩場の影に蹲って、夜の闇と、それから岩場を轟々と叩きつける風の音と仲良くしています。
 空を見上げれば、空は今は暗くて黒いので分かり辛いですが、やっぱりあの灰色の雲は凄まじい勢いで流れながら空を覆い隠しています。
 けれどその切れ間から、あるいはその雲を透かすようにして、キラキラ小さく輝く星々の明かり。それから大きくぼんやりと輝く月の明かりが、私を照らしてくれていました。
 雲を透かして覗く月の明かりは、とても神秘的。
 さっきから風は轟々なって、岩に叩きつける風の音、どこか細いところを通り抜けているのか笛のように高く鳴る風の音、風に飛ばされた何かの音、辺りには音が満ち満ちていましたが、しかしこの光景は、光に照らされた荒野の光景は、とても静かなものでした。
 明かりの無い夜の荒野の暗闇を、ぼんやりと、それでいてはっきりと照らす月明かり星明かり。
 その明かりは岩をきらりと照らし出し、その光景はとてもとても綺麗で、神秘的とまで言えるほどのものでした。
 荒野の風は乾ききって、死を運んでくる。
 そんな風に常にさらされ嬲られて、この土地は、岩は、死んでいる。
 けれどその神秘的な光景はそんなことなんて感じさせないような綺麗さで・・・。
 いえ、違います。
 私はその光景を見て気が付きます。
 この光景は、どこか冷たい月明かりに照らされたこの光景は、死んでいることを感じさせないくらいの綺麗さではないのです。
 死んでいるからこそ、美しいのです。
 荒野の夜は、日中とは打って変わってなんだか寒い。
 昼日中のあの暑さが嘘のように無くなって、ひんやりとした涼しさで、寒さ位感じるほどでした。
 焼けるような太陽が落ちて、上ってきた冷たい光を放つ月。
 日中の死にもの狂いの生の時間が終わって、焼け落ちて灰になった夜の時間。死の時間。
 ペリオンの昼は、凄まじい強さで照り付ける太陽に燃やされた、とても熱い、だけど生きようと必死になっている、もがき苦しむ生の時間でした。
 そして今、ペリオンの夜は、その暑さが焼け落ちて、もはや全ては焼かれて灰になった、冷たい冷たい死の時間でした。
 灰はもはや冷たくて、だけど冷たいということは熱くなくて、灰になるまで燃やされた生は今、この夜という静かで冷たい時間の中で安らかな眠りについている。
 だからこの月明かりに照らされた中に見える景色はとても落ち着いていて安らいでいて、見渡す限りの全ては灰で、だからそれらは美しく神秘的に見えるのでした。
 灰は美しく、神秘的なもの。
 太陽に燃やされる生の熱さを耐え、逃れ、そして静かに安らいでいる灰こそ、その熱さという苦しみ故に何かの悟りを開いて、今は静かに沈黙を守っているのです。
 だからこそ、この光景はこんなにも神秘的に見えるのです。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ベアトー。戻ったわよー。
 そんな轟々と風が吹き付けながらもとても静かだったこの場所に、一つの声が現れました。
 死を運んでくる風の出す音じゃない、生に満ちた、暖かい命を感じる声が。

魔王スタンプ(ヘネシス)
ふぅ、何だかどこを探してもモンスターが居なくって、びっくりしちゃったし、おかげでこれを集めるのも大変だったわ。スタンプの枝を当てにしていたからね。
 そう言って魔王さまは、抱きかかえるようにして持っていたたくさんの木の枝を、どさりと岩の地面に下ろしました。

魔王スタンプ(ヘネシス)
さ、焚火を起こしましょう。


魔王スタンプ(ヘネシス)
今日のベアトはポエミィね。

もふもふベアト
ポエミィなベアトリス。ポエトリスです。
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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