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ダークヒーロー★しらゆき(138)       植物博士ベアトリス
 荒野に吹き荒れる乾いた風が岩を叩きつけ石ころを転がす音の中で、時折聞こえる魔王さまの唸り声と独り言。
 私はそれらを聞きながら、魔王さまと同じように考え事に頭を巡らせます。
 考えるのは、この荒野に私たちの食べることの出来るようなものがあったかどうか。
 私たちは今、この広大な荒野の中で、同じく頭の中に広がる広大な荒野を舞台に食べ物を探す宝探しをしていました。
 日中、魔王さまはスタンプに夢中になり、大挙して押し寄せるスタンプたちをバッタバッタと切り捨てるのに忙しくて、周りの景色なんかはほとんど見ていなかったでしょう。
 日が傾いで暮れはじめれば、私たちは寝床にちょうど良い岩陰探しに忙しく目を彷徨わせ首を振り、確かに荒野の景色はよく見ていましたが、それは寝床にちょうど良い岩陰探しのためで、だから私たちの焦点は目的の物ばかりに行って、他の物はあまり見られていませんでした。まして魔王さまはスタンプとの戦いで大いに疲れていたので、岩陰探しはもっぱら私の仕事で、ヘトヘトの魔王さまはあまり周りの景色に目が行っていなかったのを、私はそばで見ていました。
 つまり、荒野のどこに何があるかということは、魔王さまよりも私の方が把握しているということです。
 私は魔王さまと同じように、今まで見てきた荒野の景色を思い出します。
 魔王さまがスタンプと戦っている時、そんな時私は普段なら本でも読んでいるところですが、最初からそのつもりだった魔王さまと違って、狩りが終われば街に変えるものだと思っていた私は当然何の準備もせずにこの荒野に出てきたわけで、だから本なんて持っていませんでした。
 だから私は魔王さまの狩りの最中、魔王さまが戦う様子を眺めたり、砂煙を含んだ風が吹き荒れ霞がかり、立ち昇る熱気のために景色さえ揺らぐ、ただ茫漠とした荒野の風景をぼんやりと眺め、時にはそれに思いを馳せたりしながら過ごしていました。
 私はそうして見てきた荒野のことを思い出し、そしてすぐに思い至ります。

もふもふベアト
食べ物なんて、ありません!
 報告する声が思わず大きくなってしまう程に、それは歴然とした事実でした。
 私は荒野の景色を眺めながら、常々思っていたのです。
 この荒野は本当に枯れ果てていて、スタンプが歩き回る以外には動物も植物も生き物なんてほとんどいない、正に死の大地である、と。
 はっきりいってスタンプがああしてたくさん居て歩き回っているのが信じられないほどに、荒野には命の気配がありませんでした。
 岩も土も乾き切り、その渇きによって出来たひび割れは、まるで大地に浮き出た死相のようでした。
 そんな死相の浮いた土には当然植物なんてほとんど生えてはおらず、また昔の名残なのか何なのか、きっと今ほどにはペリオンの荒野が荒野でなかったころに生え、生きていたのであろう植物もたまには見ることも出来ましたが、しかしその死の大地であるこの荒野にぽつりぽつりと生えた例外のような植物も、その全ては例外なくこれでもかという程に渇き枯れ果て、死に絶えていました。
 動くことの出来ない植物は、当然自分の周りの土にわずかに残された栄養も水分もすぐに食べきり、しかしその食べた分が補充されることはなく、どうしようもなく枯れていったのでしょう。
 そう考えると、荒野を歩き回るあのスタンプというモンスターは、意外とこの土地に向いているモンスターなのかもしれません。
 私は初めてこの荒野とあのスタンプという組み合わせを見た時に、「なんでこんな枯れ果てた場所に植物のモンスターが・・・。」とさぞかし不思議に、似つかわしくないと思ったものです。
 切り株のモンスターであるスタンプは魔力にも水分にも満ちた瑞々しいエリニアや、青々とした下草に絶えず豊富な栄養を与えている土に恵まれたヘネシスにこそ似つかわしくとも、この荒野にはてんで似つかわしくなく見えたのです。
 荒れた荒野と、植物モンスター。
 きっと誰が見ても私と同じ感想を抱くであろうその組み合わせ。
 しかしそれは実はとても理にかなった組み合わせで、当然の帰結と言えるものだったようです。
 もしもスタンプがエリニアに居たら、スタンプは森に満ちるたくさんの水と栄養と魔力を吸って、あんな枯れかけた切り株の姿なんてしていないでしょう。切り株だったスタンプはエリニアの魔力を受けてその断面からきっと新たな身体を生やして、青々とした葉を枝を付け、瑞々しい姿で歩き回る立派な木のモンスターになったことでしょう。
 ヘネシスに居たとしても、エリニアほどではないにしても似たような変化を遂げたはずです。
 スタンプのあの枯れかけた切り株という姿は、ここが乾き切った荒野であるからこそみられる姿なのです。
 しかも、時折ぽつんと一本だけ立っている木を見ての想像ですが、あれはこの荒野における、植物たちの一種の進化の形なのでしょう。
 荒野の土には見ての通り、栄養も水分もほとんどありません。
 その場に根を下ろし動くことの出来ない植物たちはごらんのとおり、残らず枯れ果てています。
 スタンプたちはきっと、そんな彼ゆく運命にあった木々がその運命に抗い、根を下ろした土という呪縛から抜け出し、その根を今度は足にして、歩き回ることで栄養や水を探し求めることが出来るようになった、ペリオンにおける植物の進化系なのです。
 枯れ果て、点々とではあるものの花も木も見られるこのペリオンには、かつてはそれなりに自然が、植物が息づいていたのでしょう。
 しかしどういう理由かは知りませんが枯れ始めたペリオンで、滅びの気配を感じら植物たちは、自らの命を繋いでいくために、スタンプという形へと進化を遂げていったのです。きっと。
 そして結果はごらんのとおり。
 ペリオンにはスタンプが歩き回り、進化に取り残された普通の植物は枯れ果てました。
 そしてちゃんと全身が揃っていて、枝葉をつけ実を付ける植物ならまだしも、切り株のスタンプを、私たちはさすがに食べることが出来ません。
 わずかな水場に、きっと点々とわずかに栄養を残した土もあるこのペリオンで、スタンプたちは何とか食いつないでいくことが出来るのでしょうが、そのスタンプを食べることの出来ない私たちにとって、このペリオンには本当に食べ物の無い、冗談みたいな死の大地であることを、食料が尽きたことで私は強く実感しました。


魔王スタンプ(ヘネシス)
今日のベアトはまるで博士ね。

もふもふベアト
ふふん。カッコイイでしょう!
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しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

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