FC2ブログ
2018/12
≪11  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   01≫
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
letter from Familia Master(二通目) 「最初の出会い。」
 私が最初の仲間と出会って、私の冒険が始まる話をする前に、それまでの話を少ししないといけないよね。
 先のお手紙で、私の住んでいる街はヘネシスという街で、そこは長閑な草原の街だと話しました。だけど、ヘネシスと言われてみんながまず思い浮かべるのは、そこじゃないと思います。
 ヘネシスと言われてみんなが一番に思い浮かべるのは、そこが弓使いの街だということでしょう。
 ヘネシスには大きな弓使い学院があって、街の外からも中からも、たくさんの弓使い志望者がそこに集まって、互いに切磋琢磨しながら技を磨いています。
 子供の頃からこの街に住んでいる私は、そんなたくさんの弓使い達の姿を見て、それからその学院の校長先生であるとても強い弓使いに憧れて、弓使い学院に入りました。そして当然と言えば当然だけれど、この街には私みたいな子供が多くて、弓使い学院の三分の一は私の幼馴染や近所のお兄さん、お姉さん、そして反対に私のことをお姉さんと慕ってくれる子供たちです。弓使い学院の三分の一がそんなヘネシス出身者って言うのは、割とすごい事じゃない? だって弓使い志望者は世界中の色んな街から集まってくるのに、この小さなヘネシスの街の人々がその三分の一を占めているんだもん。だけど私はそんな風に思いながらも、それも当たり前のことだなんて思ってもいるのです。だって、幼い頃からカッコイイ弓使い達の姿を間近で見ていたら、そりゃ憧れて自分もやってみたい! って思うよね。中でも学院の校長先生は本当に強くてカッコ良くて、街中の人から尊敬されているし、世界でも有名な人なんだから!
 って、少し興奮しちゃったけど、これでヘネシスがどんな街かもっとよく分かってもらえたと思うし、私が冒険に出ることになった経緯も分かってもらえたと思います。私は私の冒険が始まるずっと前から弓使いに憧れていたし、つまり同時に冒険にも憧れていたのです。
 だって、弓使いは冒険するものだもの!
 弓使いという「職業」は、他にもいくつかある「戦う職業」と合わせて「冒険家」と呼ばれていました。
 冒険家とは、日々の修練で手に入れた力を使って、人助けをしたり、宝探しをしたり、更なる力を求めてより厳しい修練に励んだりしながら、世界中を冒険する人のことです。もちろん一つの所に納まって兵士をやったり、各地で傭兵をやったりする人もいるけれど、やっぱりダントツで冒険家の道を選ぶ弓使いが多いのです。冒険家は、成長した弓使いの進路の一番人気で、花形とも言えるかもしれません。
 冒険家になる理由は人それぞれだけど、じゃあ私が冒険に憧れを抱く理由は何? って聞かれれば、それは正義の味方に憧れているからです。もちろん広い世界に出て色々なものを見たいとか、強くなりたいって気持ちもあるけれど、一番の憧れはさっきも話に出た、人助けをしながら冒険をする、ということです。
 人助けの冒険家。正義の味方。
 モンスターの襲撃を受けている街に颯爽と現れて、目にも止まらぬ弓捌きで敵を倒し、街を救うヒーロー。
 悪者たちに支配された村の中でひっそりと、弓使い持ち前の素早さを狙撃術を活かして、人知れず人々を解放するスナイパー。
 私は小さい頃からそんな想像をめぐらして、ずっと正義の味方に憧れ続けていました。憧れて、そんな正義の味方を目指して、修練にも勉強にも、人一倍励んできました。
 励んで、きたんだけど・・・。
 まぁ、これは長い長いお手紙で、時間も書くスペースもたくさんあることだし、今は過ぎたことだけれどちょっと私の愚痴に付き合ってよ!
 私は確かに誰よりも生傷こさえて修練に励んだし、街で一番早く起きる長老のおじいちゃんよりも早起きして勉強に精を出したけれど、私の弓使いとしての実力は一向に伸びなかったんだ。
 ううん、実際は確かに力がついていったよ?
 走ったら走っただけ体力が付いた。トレーニングを重ねるほど、私は力持ちになったし打たれ強くもなった。それに弓使いは地形を活かして戦う職業だから、どんな所にもすぐ移動できるように、それからどんな場所からも矢を入れるように、色んな場所をアスレチックみたいに走り回って身のこなしを軽くしたし、泳ぎだってたくさん練習した。入り組んだ岩場を駆け回って、木と木の間を飛び回る私はまるで忍者みたいだと言われたし、泳ぎも街で一番上手になった。それに水の中から矢が居れるのなんて、弓使い学院の中じゃ私とあと何人が出来るんだろう?
 それにそうした修練だけじゃなくて、色んな勉強も無駄にならなかった。全部ではないけれど色んなモンスターの習性を私は覚えたし、相手の動きや武器を見て、相手の戦法を素早く見極める方法も学んだ。弓使いにとって重要な地形の利用法もしっかり頭に入っているし、弓使いとは関係なさそうなこともたくさん勉強した。
 そしてそんな修練と勉強の甲斐あって、私は確かにうまく立ち回れるようになりました。
 実戦式の手合せの訓練じゃ、それこそ負け知らずでした。私は誰の矢にも当たらなかったし、私が狙いを付けた矢は外れませんでした。
 ちょっと偉そうになってしまったけれど、今の話はどれも本当のことで、私は私の頑張りに自信を持っています。
 でもね、そんな訓練としての手合せでは負け知らずの私だったけれど、肝心の、街の周りに棲むモンスターを相手にした実戦では、私は誰よりも弱かった。
 うん、不思議だよね?
 訓練では一番のなのに実戦ではびりだなんて。何でだと思う? ちなみに、モンスター相手に怖気づいていたわけではないよ。
 私が実践では誰よりも弱かった理由。
 それは、私の矢に威力がなかったからです。
 どんなに体を鍛えて力持ちになっても、何故か私の矢にその力が伝わることはありませんでした。
 どんなにうまく立ち回って狙いを外さなくても、その攻撃で敵を倒すことが出来なければいつまで経っても戦いに勝つことは出来ません。
 他のどんなことが出来ても、攻撃そのものに威力がないということはカバーできませんでした。
 戦いが長引いて、やがて疲れ切った私は動けなくなり、やられてしまうというのがお決まりのオチでした。
 それが私が誰よりも弱かった理由で、いつまで経っても弓使いの実力が伸びなかったという言葉の意味なんだけれど、たったそれだけのことを話すのに随分とあれもこれもたくさんのことを書いてしまったね。だけど、当時の私はやっぱり頑張っていたし、それに鬱憤も相当溜まっていたし、これくらい愚痴っちゃっても良いよね?
 そんな訳で私はいつまで経っても憧れの冒険に出かけることが出来ませんでした。
 頑張っていたのは確かだから、褒めてくれる大人や友達もたくさん居たけれど、私のことをからかう子たちもたくさん居たなぁ・・・。
 ヘネシス出身の子達、それから学院の外の幼馴染たちは大体私の味方をしてくれたけれど、街の外から来た子達には割と散々言われたよ。「敵を倒せない弓使いなんて意味ないんだ。」って、今でも思い出せるよ。
 まっ、私だってそう思うけどね。
 街の外から来た子たちは家が代々冒険家として名を馳せた家系だったり、小さい頃から強くなるために教育された、所謂エリートたちの子が多かったから、なおさらだね。
 で、当時の私はもちろんヘコんだわけです。
 いくら頑張っても強くなれない。ううん、頑張れば頑張っただけ色んな能力が伸びたけれど、一番大事な、カバーの聞かない部分でいつまで経ってもひとつも強くなれなかったわけだから。あの頃の私はもう段々訳分かんなくなっていって、いっぱい泣いたし卑屈にもなった。
 そんなある日でした。
 私に戦う力をくれた、最初の仲間に出会ったのは。
 私にはカミラって言う親友が居てね、その子は弓使い志望ではなかったけれど幼馴染で親友で、一番仲良い子なんだ。いつもカミラが一番私の頃心配してくれたし、相談にもたくさん乗ってくれた。
 そんなカミラがある時、サラダを作りたいからと言って、材料の一部を集めてきてくれと私にお願いをしました。
 その材料というのは、オレンジ色の水玉模様をした、メイプルキノコというキノコの傘。
 メイプルキノコはヘネシスの周りに棲むキノコのモンスターで、ヘネシス周辺で一番弱いモンスターです。私でもいくらか相手に出来るような相手で、このキノコの傘がまた美味しいんです。
 そんなメイプルキノコの傘を十個くらいだったかな。私に集めてくるようにカミラは頼みました。
 きっとカミラは私に自信を持ってほしかったんだと思います。メイプルキノコは私でも倒せるモンスターだし、私が集めた傘でカミラが喜んでくれて、私の集めたキノコでサラダが出来て、やっぱり嬉しかった。私の力で誰かが笑顔になってくれて、それが私には大きな体験でした。カミラは「弓使いの力で人助けをしたい!」という私の望みを、身を持って体験させてくれたわけだね。
 だけど、うん、卑屈だったんです。あの頃の私は。
 カミラが喜んでくれたことも、そのために戦えたことも、確かに嬉しかったけれど、私は苦戦しすぎたんです、メイプルキノコ相手に。他の弓使い見習い達なら一発で倒せるような相手を倒しのに、私は何本の矢を使ったんだろう。メイプルキノコの傘なんてみんなあっという間に集められるのに、私は日が暮れるまで草原を走り回っていました。カミラは私の奮闘を称えてくれました。だけど生傷をたくさんこさえた私の手当てをしながら、心配と申し訳なさそうな気持ちのこもったカミラの「ごめんね。」の一言が、私の耳には随分と長く残りました。
 自信が付くはずのその体験の中で、確かに私は色々なものを得たけれど、自信はかえってなくなってしまいました。卑屈でしょ?
 それからしばらく経ったある日の昼下がり、私は街の外に出て、そこに居る緑キノコというモンスターを見ながら、絵を描いていました。緑キノコはその名の通り緑の傘を持つキノコのモンスターで、メイプルキノコより強いけれど、メイプルキノコより大人しいモンスターです。
 私は小さい頃から絵を描くのが好きで、気持ちが沈んだり考え事があったりすると、スケッチブックを持ち出して、外で絵を描くという習慣がありました。外に出てそよ風に撫でてもらいながら、草や葉が風になびく音や小鳥のさえずりなんかを聞きながら、絵を描いていると心が落ち着きました。
 景色を描くのも楽しいけれど、モンスターを描くのが何よりお気に入り。
 モンスターにも一匹一匹個性があって、そんな彼らを眺めながら無心に筆を走らせると、なんだか気持ちが楽になってくるのです。
 あの日もそんな風に、外へ出て緑キノコの絵を描いていました。大人しい緑キノコ達は、あの時のささくれだった私の心を癒して落ち着けてくれました。
 そしてそうやって絵を描きながら、空から柔らかく振ってくる陽の光で半ば無心、半ば夢見心地になっていると、どこからともなく声が聞こえてきたのです。
「ねぇ、絵を描いているの? 私にも見せてよ。」
 それが、私と彼女の、最初の仲間との出会いでした。
スポンサーサイト
 
Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

しらゆき

Author:しらゆき
メイプルストーリー、いばらでのんびり遊んでます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。